富士通の拠点で稼働止めずに実証
三菱重工業は7月9日、データセンターの安定稼働を維持しながら、冷却に使うエネルギーを削減できる新たな技術の実証実験を行ったと発表した。
富士通が運営する「富士通 明石データセンター」(兵庫県明石市)で、マルチベンダー構成(複数のメーカーや提供元の設備が混在する構成)の既存設備を対象に実施した。
冷却システムは、データセンター全体の冷却に関連する共通設備と、個別のサーバールームに設置する空調機(AHU)から成る。従来は設備ごとに最適化していたが、実証を通じて最適化の範囲を冷却システム全体に拡大することで、省エネを実現できると見込む。
三菱重工は新手法を広め、年々普及拡大するデータセンターの運用コスト削減とPUE(電力使用効率)改善を後押ししたい考え。

データセンターの冷却システム(富士通 明石データセンター)
データセンターの需要が世界的に急増する一方、電力消費の急拡大が大きな課題となっており、とりわけ冷却システムはサーバーなどのIT機器を除く電力使用量の60%以上を占める最大の電力消費源。
既存のデータセンターでは、サーバーの安定稼働を最優先に冷却システムを運用してきたため、冷却システム全体のエネルギー最適化との両立が困難になっている。さらに、マルチベンダー構成の既存データセンターは、AIワークロード(AIを動かすための負荷の高い計算処理)の増加などから、運用に求められる条件が高度化しているため、既存の省エネ手法の効果が限られているのが実情だった。
今回の実証は、データセンターの運用を止めずに実施した。三菱重工の総合研究所が開発した、マルチベンダーの設備に対応する仕組みを用いて、シミュレーションと最適な制御を行った。
具体的には、サーバールーム内で温度のばらつきがある場所を特定して、空調機で風量を制御し、最適な気流に変更することで温度のばらつきを2℃縮小。冷却システム全体での最適な運転範囲が拡大したという。
その結果、冷却システムをまとめて制御することが可能となったため、冷却水を適切な温度に保ち、冷却システム全体で2.3%のエネルギー削減を達成。加えて、ターボ冷凍機のエネルギー効率(COP)は1.2ポイント以上アップしたという。
今回の実証では、データセンターに複数あるサーバールームのうちの1室に適用した。データセンター全体に適用した場合は、最適に運用できる範囲が拡大するため、冷却システム全体で7.6%のエネルギー削減効果が見込まれると試算している。

実証結果と将来ポテンシャル
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用







