【現地取材】成田空港の地元自治体、滑走路新設で土地収用制度の利用を容認★続報

【現地取材】成田空港の地元自治体、滑走路新設で土地収用制度の利用を容認★続報

NAAや国交省との会合で表明、延伸部分の先行供用も確認

国土交通省と成田国際空港会社(NAA)、千葉県、成田空港周辺9市町は7月10日、千葉県成田市内で会合を開き、NAAが国交省などと連携して構想を進めている成田空港の機能強化策について協議した。

この中で、新設するC滑走路の用地取得が想定より遅れているのを踏まえ、NAAが公共事業に必要な用地を所有者へ正当な補償を実施することを条件に、強制的に取得・使用できるようにする土地収用制度の活用を検討する方針を表明していることについて、千葉県と周辺9市町はやむを得ないとして容認する意向を示した。

千葉県と周辺9市町は併せて、NAAに対し、引き続き任意による用地取得に努めるようあらためて求めた。

参加した各者は、NAAがB滑走路を延伸するのに伴い、延伸する部分を2029年度中に先行して供用を始められるよう取り組みを進めることも確認した。


各者が参加した会合

千葉県の熊谷俊人知事は会合後、報道陣の取材に応じ、土地収用制度の活用について「苦渋の決断ではあるが、やむを得ないものとして受け止めることにした。機能強化は空港周辺自治体にとっても千葉県にとっても、わが国の発展にとっても必要不可欠と考えている」と語った。

NAAの藤井直樹社長は「(容認の方針を)大変重く、真摯に受け止めている。(機動隊と反対住民や学生が激しく衝突した成田闘争のような)成田で多くの問題を生じさせた原因は当初の空港建設で(政府などが)一方的な空港づくりを行ってきたために対立の構造を生じさせたと認識しており、そのことを忘れてはならない。決断いただいたことにあらためて厚く御礼申し上げる。(地元地権者とは)これからも丁寧な話し合いを続け、任意取得へ最大限の努力を続ける」と語った。

国交省の宮澤康一航空局長は「地域との共生・共栄を一層深めながら、成田空港の機能強化実現へ引き続き覚悟を持って取り組む」と述べた。


会合後の取材に応じる(左から)多古町・平山富子町長、芝山町・麻生孝之町長、千葉県・熊谷知事、NAA・藤井社長、国交省・宮澤局長、成田市・小泉一成市長

成田空港は現在、AとBの滑走路2本を運用している。訪日観光客の増加などで航空需要が今後も伸びると予想されているのに対応するため、NAAは国交省や地元自治体などと連携し、3500mのC滑走路を新設するとともに、B滑走路を現状より1000m伸ばして3500mにする工事を進めている。

NAAは工事完了を受け、年間の発着枠を現行の34万回から50万回へ高める方針だ。ただ、NAAによれば、今年6月末時点でB滑走路の延伸については必要な用地の99.5%を確保できた一方、C滑走路は89.6%にとどまっている。

藤井社長は今年4月、金子恭之国交相と会談した際、土地収用制度の活用を検討する意向を表明。金子国交相は理解を示した上で、その前提として地元の理解を得ることなどを要請するとともに、地権者の合意を得た上で取得できるよう取り組みを継続することを指示していた。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事