GMO AI&ロボティクス商事、故障のヒューマノイドに駆け付ける「救急車」など新サービス始動

GMO AI&ロボティクス商事、故障のヒューマノイドに駆け付ける「救急車」など新サービス始動

データ学習やセキュリティにも対応、普及に備え体制整備図る

GMOインターネットグループでヒューマノイドロボット(人間型ロボット)の導入・運用支援を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は9月8日、東京都内で記者会見し、ヒューマノイドの普及促進のため新サービスを開始すると発表した。

ヒューマノイドが故障した際、現地へ駆け付けて故障の原因を探ったり、修理したりする「ヒューマノイド救急車」の運用を始める。他にも、スムーズな動作を実現するのに不可欠な動作データの学習をサポートするサービスを複数展開する。

GMO AIRは物流現場などでヒューマノイドが広く使われるようになる将来に備え、データ学習、セキュリティ、保守の3つの領域に注力していく構え。

会見では併せて、8月に北京で開かれた「ヒューマノイド運動会」に参加した際の取り組みも報告、世紀の大イベントの場で気づいた点を紹介した。


「ヒューマノイド救急車」の車両。左からGMO AIRの内田朋宏社長、GMOインターネットグループの瀧澤照太シニアリサーチエンジニアと廣本一真氏

GMO AIRは2024年設立。国内外の優れたヒューマノイドにGMOグループの技術を掛け合わせて提供、性能をより高めていくことを事業のコンセプトに設定している。中国のUnitree(ユニツリー、宇樹科技)の販売代理店を務めており、会見では同社のヒューマノイド「G1」5体によるダンスもお披露目した。

国内でも日本航空(JAL)が空港のグランドハンドリング(地上支援)業務でヒューマノイドの本格的な活用を目指して実証実験を進めるなど、物流施設や工場といった現場で利用を探る動きが広がっている。

GMO AIRは工場の業務自動化は専門性の高い動きを求められることが多いため、汎用的な動作が多いものの人手不足が課題となっている物流現場の利用が先行して進むと想定。普及をにらんだ対応を加速させることにした。

会見でGMO AIRの内田朋宏社長は「単なる販売代理店ではなく、ユーザーの需要に応じて2次開発も手掛ける。そのための拠点として4月、渋谷にヒューマノイドの研究施設を開設した。専門のエンジニア約30人を配置しており、10月5日から全面稼働させる」と取り組みの進展を強調した。

技術の研究開発の一環として、8月に中国の北京で開催されたヒューマノイドの運動性能を競う国際大会「第2回 世界ヒューマノイド運動会」に、Unitreeの汎用ロボットを改造して参加した。


「ヒューマノイド運動会」の参加体験を発表

物を運ぶ、階段を昇降する、障害物を避けるといったあらゆる動作の土台として「走行技術」に焦点を当て、自分でレーンを見て自律走行できるようデータ学習させて投入した上で、転倒などによる損傷もその場で修理することで、カスタマイズから保守まで社会実装で必要となる課題を検証した。

その結果、100m走は24.3秒で74台中13位、400m走は1分55秒で44台中9位タイ、1500m走は7分43秒で35台中7位と好成績を収めることができたという。

運動会参加の発案者で、プロジェクトの責任者を務めたGMOインターネットグループの廣本一真氏は「当社より上位のチームはいずれも運動会用に開発した専用機で参加しており、汎用機では当社が1位だった」と2次開発力の高さをアピールした。

「運動会」で経験した社会実装への課題

GMO AIRの説明によると、ヒューマノイド運動会参加で同社が把握した課題が、現場のデータ学習の重要性と、壊れた際に支える体制だったという。このうち現場データに関しては、会場入りするまでに異なる競技場30カ所の写真や第1回運動会の会場写真など計5000枚で学習させていたが、現地では照明の当たり方が違うだけでレーンの見落としが発生しており、きめ細かなデータの準備が不可欠なことが明らかになった。

また、400m走の予選では転倒して機体が破損したが、エンジニアたちが2次開発の過程で修理ノウハウを確立していたため、予備パーツを使って10分で復旧させ、準決勝に進出できた。

この経験を踏まえてGMO AIRは、ヒューマノイドの社会実装を進める上でデータ学習、セキュリティ、保守の3要素が重要と判断、新サービスを立ち上げた。

データ学習サービス「GMO LOOP(ループ)」は現場データの取得、モデルの強化、実機へのフィードバック─の3ステップをループさせる(繰り返す)ことで、現場や作業内容に合わせて動作制度の継続的な改善につなげる。

セキュリティサービス「GMO SAFE(セーフ)」は、データ漏洩などサイバーリスクに対処するのが狙い。ヒューマノイド導入が見込まれる現場の多くは、センサーで収集するデータに重要な情報が大量に含まれることから、セキュリティー面の対応が不可欠となる。GMOインターネットグループのサイバーセキュリティ会社と連携し、機体や利用環境のデータ漏洩リスクを評価、ネットワーク設定や周辺機器、搭載するソフトウェアを適切に設定することで、安全性の高い運用環境の提供を目指す。

保守サービスではヒューマノイド専用保守車両「GMO ヒューマノイド救急車」を9月に導入した。GMO AIRは同様の取り組みは国内で初めてと説明している。

故障・トラブル時に駆け付け、現場で診断・修理対応や代替機の提供を担う。現在は1台で、当初は提供先を絞り込んでスタートするが、将来は台数と拠点をともに増やし、提供できるエリアを広げることを予定している。


救急車の車両内部。故障やトラブルが発生したヒューマノイドを導入先で診断し、修理や代替機の提供を行う(作業イメージ)

(石原達也)

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