人工島に次世代コンテナターミナル整備、流通・加工・製造機能を集積
神戸市が2017年に発表した、30年後の未来を見据えた「神戸港将来構想」が実現に向けて前進するかどうかが注目されている。構想は目標の1つに、同市の六甲アイランド南沖で造成工事が進められている人工島を核として、国際海上貨物の一大積み替え拠点「神戸国際ロジスティクスパーク」を整備することを掲げている。
神戸港は1995年の阪神・淡路大震災の影響でコンテナ貨物の取扱量が大きく落ち込んだが、世界的な経済成長などを背景として、18年は294万4116TEU(20フィート標準コンテナ換算)と震災前のピークを上回る規模に達している。
ただ、グローバルで見れば取扱量の規模は中国・上海やシンガポール、韓国・釜山といった基幹港に大きく水を空けられている。神戸市などは物流機能を強化することで成長が続くアジアを発着するコンテナ貨物を取り込み、国際的な存在感を高めてアジアの主要港として復権、関西経済の発展につなげていきたい考えだ。
同構想は神戸開港150年を迎えたのを契機として作成。新たな人工島に次世代のコンテナターミナルと流通・加工・製造機能を集積した「神戸港ロジスティクスターミナル」を設けることなどが柱だ。
多様な貨物に対応できる国際物流拠点を実現するため、有識者らで今後10年先を視野に入れた具体的な中期計画の検討が進められている。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの先端技術を活用して荷役の自動化を図ることなどを想定しているとみられる。
新たな人工島に関しては、以前にも大型コンテナターミナルの整備計画が打ち出されていたが、神戸市などは震災からの復旧・復興を優先、棚上げされていた。関係者は震災から25年を迎えた今年を節目として、新たな港湾計画の作成につなげていくことで仕切り直しを図りたいようだ。ただ、ターミナル整備に要する巨額の費用分担など、課題も存在している。
「神戸港ロジスティクスターミナル」のイメージ(神戸市発表資料より引用)
(藤原秀行)
同構想に関する神戸市の発表資料はコチラから