ヤマトHD、傘下の主要8社を21年4月に再編し事業会社に移行へ【18時32分内容差し替え】

ヤマトHD、傘下の主要8社を21年4月に再編し事業会社に移行へ【18時32分内容差し替え】

IT・デジタル分野に4年間で1000億円投資、業務効率化とサービス強化図り売上高2兆円目指す

※本日15時すぎに配信した記事の内容を差し替えました

ヤマトホールディングス(HD)は1月23日、東京都内で記者会見し、グループの経営体制と事業内容に関する構造改革計画「YAMATO NEXT100」を発表した。

ヤマトHD傘下のヤマト運輸、ヤマトグローバルエキスプレス、ヤマトロジスティクス、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン、ヤマトパッキングサービス、ヤマト包装技術研究所、ヤマトフィナンシャルの7社を吸収合併するとともに、ヤマトシステム開発の一部事業を承継する再編を2021年4月1日付で実施。新たに今後伸ばしていくことを目指している「リテール」「地域法人」「グローバル法人」「EC」の4分野ごとに事業本部を構築し、ヤマトHDは純粋持ち株会社から事業会社へ移行する。

主要事業会社が担っていた機能を本体に集約して経営判断の迅速化を図るとともに、現場でのロボット導入やAI(人工知能)活用などデジタル技術を積極的に取り入れて業務効率化やサービスレベル向上を実現。増大しているECやBtoBの物流改善需要を着実に取り込むのが狙い。事業の基盤強化に向け輸送、プラットフォーム、IT、プロフェッショナルサービスの4機能本部も同時に立ち上げる。


再編後の姿(ヤマトホールディングス提供資料より引用)※クリックで拡大

20~23年度の4年間でIT・デジタル分野と物流ネットワーク革新に各1000億円を充てるなど計4000億円を投資するほか、21年に300人規模のデジタル化推進組織を立ち上げ、ビッグデータの分析・活用を重視する「データ・ドリブン経営」へ転換。23年度の連結売上収益(売上高に相当)を2兆円、営業利益を1200億円以上、営業利益率は6%以上、ROEは10%以上にすることを目指す。

具体策として、宅配業務でAI活用などにより輸配送をはじめとするオペレーション全体を最適化・標準化・低コスト化するほか、新たなEC向け配送サービスの導入、21年に300人規模のデジタル化促進組織開設などを打ち出している。

「ドライバーがお客さまと向き合う本来の姿取り戻したい」

会見に出席したヤマトHDの長尾裕社長は抜本的な改革に乗り出した背景として「宅急便という強いサービスがあるがゆえに、宅急便に埋没している状況が出ているのではないか。4事業本部ではなく『4社』という形では会社ごとに(他の企業から孤立する)サイロ化が起こるのが否定できない。状況を大きく打破するにはいったん1つのヤマトを作り上げ、現場と一体になって1丁目1番地の顧客と向き合った対応を目指す必要がある」と指摘。

「デジタル化促進で現場の第一線のドライバーがお客さまと向かい合う本来の姿を取り戻したい」と語り、配送ルート効率化などでドライバーの業務負荷を減らし、顧客との関係強化につなげたいとの思いを明らかにした。また、ベースと呼ぶ基幹センターから各地の宅配営業拠点へ荷物を仕分ける際、ロボット技術活用などで配達先のコースごとに集約して営業拠点での仕分け作業を解消することも目指す考えを表明した。

このほか、海外事業に関しては成長を目指すとの従来姿勢を堅持しつつも、自前で物流拠点を構築するだけでなく現地のパートナー企業と連携する形を重視するとの方針転換をあらためて説明。2020年中をめどに不採算の事業を整理する意向をにじませた。


記者会見するヤマトHDの長尾社長

(藤原秀行)

ヤマトHD、傘下の主要8社を21年4月に再編し事業会社に移行へ
「大企業病はかなり深刻」「強いがゆえに宅急便に埋没も」
事業の「基盤」と「構造」計6項目で抜本改革断行

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