米アマゾンの物流センターで労組結成問う従業員投票、反対多数で否決

米アマゾンの物流センターで労組結成問う従業員投票、反対多数で否決

小売業界は異議申し立ての意向

米アマゾン・ドット・コムが同国南部アラバマ州ベッセマーに構えている物流施設で労働組合結成の是非を問う従業員投票が行われ、開票の結果、反対多数で否決された。巨大IT企業の同社が米国内で展開している物流施設で初めて労組が誕生するかどうかが注目されていた。

投票は郵便で2~3月に実施。従業員の投票を管轄した政府系機関の全米労働関係委員会(NLRB)が4月9日に公表した開票結果によれば、投票の権利を持つ従業員5876人の5割強に相当する3215人が投票。反対が1798票で賛成の738票を大きく上回った。

残りの票は異議が申し立てられたり、無効とみなされたりしたもので、NLRBが確認を続けている。

アマゾンは4月9日、否決を受け「われわれは常に(従業員の)彼らに耳を傾けて(就労環境の)継続的な改善を行い、安全で包括的な職場で大きな報酬と利益を提供するために多額の投資を行ってきた。われわれは完璧ではないが、日々改善に努めていく」とコメントした。

今回の投票を主導した小売・卸売・百貨店労働組合(RWDSU)は、アマゾンが従業員の投票へ干渉したと主張、NLRBに異議を申し立てる意向を示す一方、アマゾンは不当な働き掛けを否定しており、最終的な決着が付くにはさらに時間を要する可能性がある。

アマゾンは新型コロナウイルスの感染拡大下の“巣ごもり消費”拡大の影響でインターネット通販の利用が増え、業績を伸ばす半面、物流施設のコロナ対策が不十分と不満を募らせた従業員がストを起こすなど、同社への風当たりも強くなっていた。厳しい労働環境の改善を求める従業員らの声が労組結成を目指す動きにつながった。

(藤原秀行)※写真はイメージ・アマゾン提供

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