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新たに参入したプレーヤー6社の顔ぶれ紹介

2021年は早くも下半期に突入、年末に向け折り返し地点を過ぎた。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介してきた。

最終回は、ここ1年あたりで新たに物流施設開発へ参入したプレーヤー6社の動きを報告したい。

大成有楽不動産
――シングルテナントの小規模施設が主軸、千葉・柏で2棟計画

大成建設グループの不動産会社、大成有楽不動産は2020年、物流施設開発事業に参入。自社ブランドは「LOGIMINAL(ロジミナル)」と設定し、第1号案件として神奈川県厚木市で地上4階建て、延べ床面積5611平方メートルの「LOGIMINAL厚木」が今年3月に完成した。コンパクトなサイズだが、床荷重は1平方メートル当たり1・5トン、梁下有効天高は5・5メートルと標準的なスペックを備えている。

今後は物流適地として注目度が高い千葉県柏市で2棟を開発する計画。最近の物流施設開発で主流となっている大規模マルチテナント型とは一線を画し、シングルテナントの小規模な施設を主軸に据えている。「手ごろなサイズを1棟使いたいとのニーズは底堅い。製品の種類などからマルチテナント型物流施設に入居しづらいお客様の受け皿となる」ことを念頭に置いている。


「LOGIMINAL厚木」の外観

ヒューリック
――第1弾は東京湾岸エリア、千葉・野田でも用地確保

ヒューリックはみずほ銀行が入居しているビルの賃貸業務を中核とするみずほフィナンシャルグループ系の不動産会社。最近は老朽化したビルの建て替えや大型案件の取得などにも積極的に対応している。

物流施設開発は第1弾として、東京都江戸川区臨海町で保有している「ヒューリック葛西臨海ビル」の敷地内で、未利用の建築物容積分を活用した増築の形で「ヒューリックロジスティクス葛西」を建設。地上5階建て、延べ床面積は1万9923平方メートルを予定しており、2022年5月の竣工を見込む。

第2弾は千葉県野田市で開発用地を取得済み。延べ床面積が約2万8900平方メートルの物件を開発する方向で調整しており、竣工は24年の予定。得意にしているオフィスビルや商業施設と同様、物流施設も用地選定などで手堅さが目立つ開発となりそうだ。


「ヒューリックロジスティクス葛西」の完成イメージ(手前側が物流施設、ヒューリックプレスリリースより引用)

JR西日本
――兵庫・加古川で事業に着手、首都圏の共同開発案件も発表

JR西日本は、子会社のJR西日本不動産開発を中心に新規参入。兵庫県加古川市で第1号物件「加古川平岡町NKビル」の建設工事に着手した。地上4階建て、マルチテナント型で延べ床面積は3万2274平方メートルを計画。竣工は2022年5月を見込む。

今年4月には、千葉の湾岸エリアで霞ヶ関キャピタルと連携し、冷凍・冷蔵倉庫を開発する計画を発表。用地は4297平方メートルで、倉庫の延べ床面積は8585平方メートルを想定している。鉄道事業者として、交通アクセスに優れた開発用地の選定に強みを発揮しそうだ。


「加古川平岡町NKビル」(JR西日本プレスリリースより引用)

霞ヶ関キャピタル
――首都圏と関西圏で計8案件のハイペース、冷凍・冷蔵倉庫にも注力

太陽光発電施設の開発や不動産のコンサルティングなどを展開している霞ヶ関キャピタルは、2020年6月に物流施設の開発・投資・運用を担う「物流事業部」を新設。新たな収益事業に育てようと優良な開発用地の取得にアクセルを踏み込んでいる。

今年6月には埼玉県加須市で新たにドライタイプの物流施設を開発する計画を公表。開発予定案件はトータルで首都圏と関西圏の計8カ所、総延べ床面積は10万3864平方メートルに上る。相当なハイペースだ。

独自ブランド「LOGI FLAG(ロジフラッグ)」を設定。同社の戦略の大きな特色の1つが、冷凍・冷蔵倉庫にも注力している点だ。8物件のうち、現時点で冷凍・冷蔵倉庫として建設することを計画しているのは4物件。ニーズを先取りしようとする姿勢が目立つ。


千葉・船橋で開発中の冷凍・冷蔵倉庫の完成イメージ(霞ヶ関キャピタル提供)

神鋼不動産
――地盤の関西でスタート、25年までに500億円投資を視野

東京センチュリーや神戸製鋼所、中央日本土地建物が株主を務める神鋼不動産は今年4月、物流施設開発への参入を決定した。グループ企業の持つ遊休地などを積極的に活用する方針で、2025年までにトータルで500億円を投資、年1棟程度開発していくことを視野に入れている。

第1号は大阪府高槻市でマルチテナント型物流施設を建設。地上4階建て、延べ床面積は5万2063平方メートルを計画しており、2024年1月の開業を見込む。併せて、神戸市須磨区でも延べ床面積が約1万平方メートルの物流施設開発計画を進めており、竣工は22年9月を想定している。

脱炭素を志向する動きが不動産業界でも広がっているのを踏まえ、東京センチュリーと組み、物流施設などでの再生可能エネルギー利用促進へ協業を始めることも発表済み。高槻市の物流施設屋上には太陽光発電設備を導入、他のプロジェクトでも取り組みを検討する。


大阪府高槻市の新施設完成イメージ(神鋼不動産プレスリリースより引用)

アライプロバンス
――千葉・浦安の初案件は「工業団地の風景を更新する物流倉庫」に

アライプロバンスは祖業の金属加工業から、保有する土地を有効活用し、総合不動産業への転身を図る異色の存在だ。第1弾は千葉県浦安市の浦安鉄鋼団地内で10月末の完成を目指して工事を進めている「アライプロバンス浦安」。地上4階建て、延べ床面積は3万4581平方メートルの予定。浦安市で大規模な賃貸物流施設が建設されるのは08年以来で、希少性の高さが注目されている。

開発のコンセプトも独自性が目立つ。「工業団地の風景を更新する物流倉庫」を目指し、外構部に自然を模した独自の庭園を3種類整備、従業員らがリラックスできる空間に仕上げる計画だ。デザインは著名なデザイナー・建築家の菅原大輔氏に依頼しており、同社は優れたデザインを持つ製品や建築物などに贈られるグッドデザイン賞を物流施設で獲得したいと公言する。

第2弾は東京都江戸川区東葛西で総延べ床面積が約12万平方メートルの物流施設2棟を建てる方向で調整を進めている。


「アライプロバンス浦安」の完成イメージ(アライプロバンス提供)

(藤原秀行)

グッドマンジャパン、メープルツリーインベストメンツジャパン、清水建設、第一生命保険、三井物産都市開発

2021年は早くも下半期に突入、年末に向け折り返し地点を過ぎた。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。

第5回はグッドマンジャパン、メープルツリーインベストメンツジャパン、清水建設、第一生命保険、三井物産都市開発の5社にスポットを当てたい。

グッドマンジャパン
――千葉・印西の巨大開発が好調、年内に5棟目竣工へ

日本での物流施設開発を先駆的に進めてきたグッドマンジャパンの名前が一段と注目されるようになった契機とも言えるプロジェクトが、千葉県印西市の「グッドマンビジネスパーク」だ。これまでに大型物流施設4棟が完成、賃貸面積は合計で約51万6000平方メートルに上る。既に国内・外資系の有力企業が入居、4棟とも100%稼働している。5棟目の「ステージ5」も10月をめどに竣工する見通しだ。

グッドマンビジネスパークの敷地中心部には「リラックス&アクティブ」をテーマに掲げた空間「theGreen」を設け、緑地スペースやカフェ、レストラン、託児所、フィットネスジム、スパ、小売店舗などを展開。物流施設の従業員や近隣住民が気軽に使える環境を生み出している。まさに地域地全体が1つの街を構成している。大手デベロッパーが1つのエリアで物流施設を集中的に建設する大型プロジェクトが相次ぎ登場しているが、グッドマンビジネスパークはその先駆けとして評価されそうだ。

同社の開発スタンスは数を追わず、優良案件に絞り込む「厳選投資」。新型コロナウイルス感染拡大で経済情勢は厳しいものの、EC需要増加による先進的物流施設へのニーズは途切れないとみて、引き続き首都圏だけでなく、関西エリアでも開発を模索していく方針だ。物流適地として需要が伸びる内陸部の大阪府高槻市では新たな物流施設「グッドマン高槻」を展開、22年夏ごろの竣工を目指している。


グッドマンビジネスパークの「ステージ5」完成イメージ(グッドマンジャパン資料より引用)

メープルツリーインベストメンツジャパン
――地方エリアでも事業機会発掘、九州最大案件を進行

メープルツリーインベストメンツジャパンは、3大都市圏に加え、地方エリアでも事業機会を発掘しようと目配りを続けている。2019年には神戸市内で延べ床面積が約10万2000平方メートルの「メープルツリー神戸ロジスティクスセンター」が完成。20年11月には、福岡県筑紫野市で大型物流施設を2棟、総延べ床面積が約23万1648平方メートルの大型案件に着手する方針を公表した。「メープルツリー筑紫野ロジスティクスセンター」は九州で最大規模の案件となる見込みだ。

広島では昨年12月、メープルツリーグループでシンガポール初のアジアを対象とした物流施設専門の上場リート、メープルツリーロジスティクストラスト(MLT)が、東広島市の地上2階建て、延べ床面積約2万7000平方メートルの物流施設を取得した。

首都圏や関西圏で物流施設用地の取得が一段と難しくなる中、事業のスコープを地方の有力都市圏にも広げており、今後も開発計画が続く可能性が大きそうだ。マルチテナント型がメーンの投資対象だが、BTS型にも強い意欲を見せている。


「メープルツリー筑紫野ロジスティクスセンター」の完成イメージ(メープルツリー提供)

清水建設
――「可変性と汎用性」重視、火災早期発見システムなど技術力アピール

清水建設は大手ゼネコンとして物流施設の建設を日常的に受注しているのに加え、不動産投資開発事業の一環として、物流施設を自社で開発している。業界でも異例のスタンスだが、これまでに首都圏で計7棟、総延べ床面積が約30万平方メートルの実績を積み重ねてきた。

アピールポイントとしているのが、ゼネコンで培った高い設計・施工技術。「可変性」や「汎用性」を重視し、テナント企業の多様なニーズに応えていく姿勢を標ぼうしている。建物自体のスペックに加え、近年物流施設で大規模な火災が相次いでいるのを踏まえ、AIを活用して早期に火災を検知、確実な初期消火を後押しするシステムを実用化するなど、独自の切り口で差別化を図っている。

このたび、新たなエリアとして九州で初の案件「S.LOGi(エスロジ)福岡空港」の開発に着手。西日本鉄道の国際物流事業本部が1棟借りし、半導体関連や農作物などの輸出入拠点として運営していくことが確定している。関西圏でも本格的な開発プロジェクトを進行中。4大都市圏を着実にカバーしていく姿勢を見せている。


「S.LOGi福岡空港」の完成イメージ(清水建設提供)

第一生命保険
――まず既存案件への投資でスタート、新規開発にも意欲

国内生命保険大手の第一生命保険は、生保資金運用の一環として展開している不動産投資で、2017年に物流施設への投資をスタート。第1号はオリックス不動産投資顧問が運用する不動産投資ファンドを介し、千葉県市川市の既存施設「市川塩浜ロジスティクスセンター」に約68億円を投じた。

2件目は19年に丸紅アセットマネジメントが運用する不動産投資ファンドを通じて、埼玉県川越市で地上3階建て、延べ床面積が約3万2000平方メートルの物流施設「LOGIPLACE-D Kawagoe」開発事業に参画。第一生命保険としては初の新規開発案件で、今年1月に竣工した。3PL運営企業が1棟借りしており、第1号案件に続いて幸先の良いスタートとなっている。敷地内には危険物倉庫を備えるなど、昨今のニーズを踏まえた案件だ。

今後も案件を精査しながら物流投資を継続するスタンスを見せている。これまでは有力な投資運用会社などと組むスタイルが主流だが、今後は自社がメーンとなり、独自ブランドで開発に乗り出すかどうかが焦点となりそうだ。


「LOGIPLACE-D Kawagoe」の外観(第一生命保険プレスリリースより引用)

三井物産都市開発
――「1~2テナント利用」規模感の物件メーン、シンガポールのキャピタランドとも連携

商社系デベロッパーの一翼を担い、「LOGIBASE(ロジベース)」の独自ブランドで物流施設開発を継続。用地取得や開発に際しては、三井物産グループで手掛けている物流の経験やノウハウ、顧客ネットワークも最大限生かしている。

昨年秋には埼玉県狭山市で「LOGIBASE新狭山」(延べ床面積1万790平方メートル)、今年2月には関西内陸部の物流適地として注目度が高まっている京都府久御山町で「LOGIBASE久御山」(2万2379平方メートル)と完成が相次いだ。後者はJPトールロジスティクスが1棟借りするなど、需要は旺盛。

三井物産都市開発は「1~2テナントで利用可能な規模感」の開発をメーンに据えており、4大都市圏を軸に中堅・中小規模の案件が続きそうだ。

新たな動きとして、シンガポールの不動産大手キャピタランドが日本で物流施設開発に参入するに当たって三井物産都市開発と連携している。既に首都圏と関西圏で開発計画を公表済みだ。キャピタランドは用地取得などの面で三井物産都市開発に大きな期待を寄せており、共同開発案件も出てきそうだ。


「LOGIBASE久御山」(三井物産都市開発プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

ラサール不動産投資顧問、ESR、日本生命保険、CRE

※CREの項目中、ベトナムに現地法人を設置している旨の箇所は誤りでした。削除させていただきます。ご迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます。

2021年は早くも上半期の終わりに差し掛かり、年末に向け折り返し地点を過ぎようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。

第4回はラサール不動産投資顧問、ESR、日本生命保険、シーアールイー(CRE)の4社に焦点を当てる。

ラサール不動産投資顧問
――日本がアジア太平洋の物流施設投資の中軸に

ラサール不動産投資顧問は物流施設開発に関し、国内で他の外資系デベロッパーなどと併せて先駆的に取り組んできた。スタンスは大型の施設開発を基本に据えており、新型コロナウイルスの感染拡大下でも大きな戦略変更には至っていない。

今年7月には埼玉県加須市でNIPPOと共同開発している12万1418平方メートルの「ロジポート加須」、11月には神戸市で4万9972平方メートルの「(仮称)ロジポート神戸西」がそれぞれ竣工する予定。

2022年に入っても、同じくNIPPOと進めている7万1257平方メートルの「(仮称)松戸物流センター」が年明け早々に完成を迎える見通しだ。ニーズが高まっている冷凍・冷蔵機能を備える計画。コールドチェーン需要にも着実に対応できるよう体制を整えている。

米国のラサールインベストメントマネージメントはかねて、アジア太平洋地域で物流施設投資を重視しており、その中でもeコマース市場の伸びしろが大きいとみられる日本については中軸を占めている。活発な投資姿勢は当面続きそうだ。


「ロジポート加須」の完成イメージ(ラサール不動産投資顧問提供)

ESR
――大規模案件を続々展開

ESRは近年の物流施設需要旺盛な中で、特に大型開発への積極姿勢が目立つ。昨年6月には兵庫県尼崎市で、1棟としてはアジア太平洋地域で最大級の「ESR尼崎ディストリビューションセンター(DC)」が完成。延べ床面積は38万8570平方メートルながら、アマゾンジャパンなど複数企業が続々と入居を決定、稼働は好調だ。

昨年12月には、物流施設が軒を連ねる川崎市の東扇島エリアで36万5385平方メートルの「ESR東扇島DC」第1期開発を公表。地上9階建てと国内の物流施設でも最高層になる見通しだ。2棟目の詳細は未定だが、2棟合わせて60万平方メートル規模に達する公算が大きい。

一時期は大阪湾岸で開発した大規模施設でリーシングに苦戦する場面もあったが、その後はEC需要の高まりなどへ着実に応えられているようだ。先日も横浜市の幸浦地区で、同一敷地内で2棟目となる「ESR横浜幸浦DC2」(19万5373平方メートル)の建設計画を公表しており、「大規模・マルチテナント型」を軸とした開発の姿勢が続きそうだ。

同社の特徴は、託児施設やラウンジ、従業員ショップなどを整備し、働きやすさを重視する理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.」にこだわっていることだ。前述の「東扇島DC」第1期ではボーリングレーンやバーなども新たに設置することを検討している。既存の物流施設のイメージを良い意味で破壊する試みはこれからも関心を呼びそうだ。


「ESR東扇島DC」第1期の完成イメージ(ESR提供)

日本生命保険
――「長期安定保有」の根幹は変えず

国内最大の機関投資家の一角を占める日本生命保険が2014年に物流施設投資へ本格的に参入した際、物流・不動産業界では「ついに物流施設もオフィスビルやマンション、商業施設など伝統的なアセットと並ぶ位置に来たのか」と歓迎する声が広がった。まさに、物流施設市場が次のステージへと進んだことを象徴するイベントだった。

その後は自社開発にも着手。既存の大手デベロッパーに比べればスピードの面で慎重さがうかがえるが、案件自体は大消費地の近隣で用地を押さえるなど、実績を重ねている。

生命保険料が運用資金のベースのため、必然的に長期安定保有が基本となる。国内のオフィスビルなどで培ってきた不動産の投資・運用ノウハウを生かし、長期にテナント需要が見込める優良案件を厳選している。

自社ブランドの「ニッセイロジスティクスセンター」を冠した物流施設は大阪で3棟と地盤の大阪先行で開発が進んでいるが、19年には横浜で初の案件が竣工した。今年3月には三菱地所とタッグを組み、神奈川県相模原市で約17万3000平方メートルの大型案件「(仮称)相模原市中央区淵野辺プロジェクト」を手掛ける方針を発表した。

自社での開発に加えて、既存物件の取得も選択肢に入れる。オリックス不動産が大阪府枚方市で開発、20年1月に竣工した「枚方Ⅱロジスティクスセンター」の取得を決定。新名神高速道路の開通で物流適地として存在感が高まる大阪内陸部の優良案件で、中長期にわたって安定した運営が見込める。まさに長期安定保有の方針にかなう物件だ。


「(仮称)相模原市中央区淵野辺プロジェクト」の完成イメージ(三菱地所・日本生命保険提供)

CRE
――大型と中小型をバランス良く推進

シーアールイー(CRE)は、昨今主流の大型と、ユーザーニーズが根強い中小型の両方をバランス良く開発しているところが特徴だ。例えば、大阪府交野市で今年完成した「ロジスクエア大阪交野」は8万534平方メートル。一方、このほど千葉県松戸市で開発に着手した「ロジスクエア松戸」は1万5654平方メートルと対照的な規模だ。

5月には埼玉県ふじみ野市の同一エリア内で3棟、総延べ床面積が27万3189平方メートルに及ぶ同社初の大規模プロジェクト「ロジスクエアふじみ野」を発表した。一部はBTS型として開発することにも対応する予定。場所や想定される荷主などを想定した、柔軟な開発計画策定が今後もCREの基本的なスタンスになるとみられる。

日系デベロッパーではまだレアケースな海外での物流施設開発にも積極姿勢を見せる。既にシンガポール、タイ、インドネシアのASEAN(東南アジア諸国連合)3カ国に現地法人を設置。併せて、ベトナムでは子会社とシンガポール政府系でインフラ開発などを手掛けるSembcorp Development(セムコープ・デベロプメント)グループが連携し、セムコープがベトナムの工業団地内で開発した2棟の運営に参加しているほか、昨年4月に3棟目が完成した。

同じくASEANエリアで物流施設の開発運営に携わった経験のある阪急阪神不動産もベトナムの開発プロジェクトに参加している。サプライチェーンがグローバルで拡大している今、日本式の高性能な物流施設が日系企業だけでなく海外企業にも受け入れられるかどうか注目される。


「ロジスクエアふじみ野」の3棟完成イメージ(CRE提供)

(藤原秀行)

東急不動産、東京建物、住友商事、センターポイント・ディベロップメント

2021年は早くも上半期の終わりに差し掛かり、年末に向け折り返し地点を過ぎようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。

第3回は東急不動産、東京建物、住友商事、センターポイント・ディベロップメント(CPD)の4社に焦点を当てる。

東急不動産
――価値向上へ独自施策を相次ぎ展開

総合不動産大手の東急不動産は、大和ハウス工業やセンターポイント・ディベロップメント(CDP)との共同案件を含め、物流施設の開発を着実に進めている。自社ブランド「LOGI’Q(ロジック)」の案件が初めて竣工したのは2019年。当初から物流施設の価値向上へ独自の施策を講じている姿勢が目立つ。

例えば、昨年1月に埼玉県三芳町で完成したアスクル専用の物流施設「LOGI’Q三芳」は東急グループの東急ハンズと連携し、屋上テラスや遊歩道を整備。東急スポーツオアシスと連携して公園を造ったり、ビクターエンタテインメントが提供している音響空間サービス「KooNe(クーネ)」を導入し、ハイレゾ音源を用いて心地良くなれる空間の創出に努めたりと、非常にユニークな施設だ。

他にも、NTT東日本やPALと組み、次世代の高速通信規格「5G」を活用して物流施設の庫内作業を効率化・省人化する「スマート倉庫」の実現に動いている。高精細カメラを使って庫内の作業スタッフを撮影、動線を把握して現場レイアウトや人員配置の最適化につなげることなどを検討している。

先ごろ東京都江東区東砂で着工した「LOGI’Q南砂町」は、世界最大級の認証機関SGSグループの日本法人SGSジャパン(横浜市)が建築図面などを基に、完成前の工場や物流施設などが必要なセキュリティ対策を講じていると認める「SGS施設セキュリティ認証竣工前評価登録」を国内で初めて取得した。東急グループの経営リソースも活用しながら、今後も物流施設の価値を高めるための「トライアンド・エラー」が続きそうだ。


「LOGI’Q南砂町」の完成イメージ(東急不動産提供)

東京建物
――「ネット・ゼロ・エネルギー」が基本

オフィスビルやマンションなどに強い東京建物は、2018年に物流施設開発事業へ参入した。埼玉県久喜市で自社開発の第1号物件「T-LOGI(ティーロジ)久喜」が満床稼働したほか、既に首都圏や関西圏、中京圏の10カ所以上でプロジェクトを進行中。総合不動産で築いた開発用地取得の経験を活用し、事業拡大のスピードを上げている。

年間500億円程度の物流施設開発を進めることを視野に入れ、4大都市圏を中心に全国で優良な開発用地の取得を図っている。

当初から鮮明に打ち出しているのが、不動産事業の持続可能性を高めるため、温室効果ガス排出削減などの環境対策を徹底していく姿勢だ。「T-LOGI久喜」は東京ガスと組み、設置した太陽光パネルで生み出した電力のうち余剰分を、東京建物が群馬県伊勢崎市で展開している大型商業施設「スマーク伊勢崎」に送電する「自己託送制度」を継続して展開していく方針だ。今後開発する別の施設でも同様の仕組みを取り入れることを検討している。

東京建物は6月、30年度までに原則として全ての新築オフィスビル・物流施設・分譲マンションは、建物で消費する年間の1次エネルギーの収支をゼロにする「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や「ZEH」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)として開発する方針を表明。30年度までに原則として開発する全ての新築オフィスビル・物流施設で環境性能を最大限高めるよう設計している建築物と認める各種の「グリーンビルディング認証」を取得することも打ち出している。同社の物流施設が再生可能エネルギー利用など、環境対策の先駆的な実験の場としても機能していくことが見込まれる。


神奈川県綾瀬市で22年7月完成予定の「(仮称)T-LOGI綾瀬」の完成イメージ(東京建物提供)

住友商事
――消費地近接の「都市型」を前面に

もともと祖業が不動産の住友商事は、オフィスビル、商業施設、分譲マンションの伝統的なアセットの開発にこだわりを持っている。3本柱に続く不動産事業の「第4の柱」として物流施設を位置付け、用地取得や物件管理などのノウハウを生かして事業展開を加速。共同事業を含めて開発を手掛ける物流施設の総延べ床面積は約100万平方メートル超、資産規模は投資先のファンド保有分も合算して2600億円超に上る。

「SOSiLA(ソシラ)」ブランドの自社開発案件で特に志向しているのが、消費地に近接した都市型の物流施設だ。eコマースの市場成長に伴い、迅速に出荷できる物流施設の重要性がますます高まっているのに対応している。5月末には大阪市の中心部・福島区で「SOSiLA大阪」が完成。7月には大阪、神戸という巨大消費地を視野に入れられる兵庫県尼崎市で「SOSiLA尼崎」が竣工する予定だ。前者は段ボール大手のレンゴー、後者は日本通運の入居が決まるなど、需要を掘り起こしている。

首都圏でも埼玉県八潮市、神奈川県大和市、千葉県柏市で続々と完成する見通し。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式の変化で今後もECの伸びが続くと見込まれるだけに、都市型案件は差別化の大きなポイントになりそうだ。高騰する用地への対応などが課題になる。

併せて、やはりニーズが拡大している冷凍・冷蔵倉庫への対応にも本腰を入れていく構えだ。多様な業界と関係を構築している大手商社の強みをテナント企業のマッチングなどに生かしていこうと模索を続けている。


SOSiLA尼崎の完成イメージ(住友商事提供)

センターポイント・ディベロップメント(CPD)
――「手間惜しまない」開発を継続

センターポイント・ディベロップメント(CPD)は2011年、米系不動産サービス大手ラサール インベストメント マネージメントなど不動産業界出身者らが集結し、物流施設の開発・運用に特化した投資助言会社として立ち上げた。社名は自分たちが手掛ける物流施設が社会インフラの結節点(センターポイント)となるような、意義あるプロジェクト(デベロップメント)を進める方針を表現している。

その背景には、プロジェクトを進めるに当たって、開発期間や投資規模などに関し、業界の常識に必ずしもとらわれず、より柔軟にプロジェクトを進めていきたいとの思いが込められている。17年には兵庫県尼崎市にあったパナソニックのプラズマパネル工場建屋を改修した大型物流センターを無事完成させ、不動産業界などで注目を集める存在となった。

他にも大手メーカー工場と用地をアパレルやeコマース向けの物流施設に刷新するなど、開発の難易度が高めな案件でも優良な物流施設を生み出せると確信できれば、地元自治体や地権者といった関係者らとの調整など、手間を惜しまず前向きに取り組んでいる。18年には三菱UFJリース(現三菱HCキャピタル)がCPDに約33%を出資、持ち分法適用会社となったが、そうした基本姿勢に大きな変化は見られない。

今年1月には、神戸市北区で物流施設2棟、延べ床面積が合計で約30万平方メートルの大型案件「CPD西宮北」に着手することを公表した。完成は25年春の見通し。新築だけでなく、既存物件の取得・改修も引き続き意欲を見せている。


「CPD西宮北」の完成イメージ(CPD提供)

(藤原秀行)

三井不動産、三菱地所、野村不動産、オリックス不動産

2021年は早くも上半期の終わりに差し掛かり、年末に向け折り返し地点を過ぎようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。

第2回は三井不動産、三菱地所、野村不動産、オリックス不動産の4社に焦点を当てる。

三井不動産
――「先進オートメーション倉庫」がお目見え

2012年に物流施設開発へ新規参入して以降、三井不動産のハイペースぶりが目立つ。総合不動産として国内随一の規模を持つだけに、幅広い顧客ネットワークを最大限生かした用地の取得に強みを持つ。同業他社の物流施設開発担当からも「物流適地を早く押さえる力は本当にすごい。絶対に侮れない」とため息が漏れる。

今年3月時点で国内の竣工稼働施設が31棟、延べ床面積が約250万平方メートルに及ぶ。年平均で5件程度の新規開発を続けてきたが、今後は6~8件程度までアクセルをさらに踏み込む構えだ。

JR貨物と東京都品川区八潮で延べ床面積が約17万4400平方メートルの巨大案件「東京レールゲートEAST」(22年7月竣工予定)を手掛けるなど、他社との共同事業にも柔軟に対応しており、今後も物流施設開発の領域で存在感を発揮し続けそうだ。

物流業界の人手不足を踏まえ、物流施設開発の新たな柱に自動化・省人化への対応を据えている。千葉県船橋市で6月完成予定の「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅲ」内で、自動化機器を積極的に取り入れた先進的なオートメーション倉庫を設ける予定。設備を使った分だけ料金を支払う従量課金制の導入も検討している。今後の物流施設開発に活用するためのモデルケースとなる見通しだ。


「MFLP船橋Ⅲ」の完成イメージ(三井不動産提供)

三菱地所
――ソフトとハード両面で差別化加速

三井不動産と同時期の12年に物流施設開発へ参入したが、当初は比較的事業拡大に慎重な姿勢との印象だった。しかし、同社と並ぶ国内総合不動産の雄として実力を発揮、ここに来て案件を着実に積み重ねてきている。

三菱地所が開発してきた案件は竣工ベースで累計18棟。今年の3月に埼玉県蓮田市、5月には同県春日部市で相次ぎ物流施設が完成した。さらに今年12月には千葉県船橋市、22年以降も神奈川県座間市で2棟など竣工予定が目白押しになっている。

施設の差別化に向け、ハードとソフトの両面で工夫を凝らしている。蓮田市の「ロジクロス蓮田」は共同部に施設利用者の利便性向上のため売店スペースを設けたほか、約500冊の書籍を備えた大型休憩室も導入。春日部市の「ロジクロス春日部」は三菱地所グループのメック・デザイン・インターナショナルと初めて共同開発し、休憩室で木を基調としたナチュラルモダンな空間を実現。デザイン性の高い家具やインテリアを取り入れ、従業員らがくつろげるよう配慮した。グループが持つ建築設計などのさまざまな機能と必要に応じて連携できるのが強みとなっている。

阪急阪神不動産と大阪府茨木市の彩都もえぎ地区で共同開発した物流施設2棟が6月に完成した。三菱地所はかねて他社との連携に意欲を見せており、今後も3大都市圏で事業の機会を探るとみられる。


「ロジクロス春日部」(三菱地所提供)

野村不動産
――「カテゴリーマルチ」が有力な提案に

野村不動産も物流施設開発の勢いが際立っている。今年3月、今後2年間で「Landport(ランドポート)」ブランドの物流施設を3大都市圏で計9棟建設していく方針を公表した。総延べ床面積は約38万9400平方メートルを見込む。同社の開発・運用棟数は全国の累計で39に達する見通しだ。

新東名高速道路の開通などで物流適地としての注目度が高まる関西の内陸部・京都で初めての案件を手掛ける計画。もともと新規の開発用地が少ない中部エリアでも優良な物流施設の開発に意欲をのぞかせている。事業エリアが広がりそうだ。

同社が物流施設の付加価値向上策の柱と位置付けている、「カテゴリーマルチ型」の案件は、今後開発する9棟中の4棟で計画している。ターゲットとしているテナント企業の業種特有のオペレーションに対応した施設仕様を施設の一部もしくは全体に盛り込むと同時に、将来のテナント入れ替わりに備えて汎用性も持たせるのが特色。既に大手自動車メーカーなどの採用実績があり、細かいニーズに対応できる有力な提案として今後も取り組む方針だ。

さらに、物流施設内の自動化・省力化ニーズに応えるため、荷主企業や物流事業者、マテハンメーカーなどと連携してロボットをはじめ先進技術の導入加速を目指す共同のプログラム「Techrum(テクラム)」を今春にスタートしている。既に複数の参加打診が来ているもようで、物流業界の関係者からは人手不足に立ち向かう新たな手法となることが期待されている。


約7・6万平方メートルとなる「Landport上尾Ⅱ」の完成イメージ(野村不動産提供、埼玉県上尾市で22年5月竣工予定)

オリックス不動産
――「グループ総合力」をいかんなく発揮

オリックス不動産は、東名阪エリアを中心に40件以上の開発実績を重ねており、国内でも先駆的に取り組んできたプレーヤーの一角を占める。近年は用地を厳選して事業の採算などを入念に検討する姿勢を堅持しているが、21年度は3大都市圏で計8カ所、順次開発に着手する方針。例年にないスピードを見せている。

荷主企業や物流事業者のニーズが底堅い中小規模案件を手掛けることが多いが、8カ所の中には、神奈川県愛川町で手掛ける予定の、同社過去最大級となる延べ床面積約18万平方メートルの案件が含まれている。EC事業者らの物流施設ニーズが根強いのを踏まえ、事業機会をとらえて大型案件にも触手を伸ばしていくスタンスだ。

開発に際しては、オリックスグループが持つ多様な事業リソースを有効活用する方針だ。具体的には、産業用ロボットレンタルや自動車リース、再生可能エネルギー、ヘルスケア、金融といった領域だ。

例えばテナント企業向けに物流施設で太陽光発電設備を導入、施設内の電力を賄えるようにしてコストを低減したり、庫内自動搬送ロボットをレンタルしたり、施設内にスポーツジムなどのヘルスケア関連設備を設けたりすることを想定。物流事業者の車両リースなどの面でも支援できるとみている。今後の開発でも「グループ総合力」をいかんなく発揮しそうだ。


大阪府箕面市で22年3月の竣工を見込む約6・4万平方メートルの「(仮称)箕面ロジスティクスセンター」の完成イメージ(オリックス不動産提供)

(藤原秀行)

プロロジス、日本GLP、大和ハウス工業

2021年は早くも上半期の終わりに差し掛かり、年末に向け折り返し地点を過ぎようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要は依然旺盛で、数多くの開発プロジェクトが首都圏など都市部をメーンとして進められている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。第1回は賃貸物流施設市場のトップ3とも言えるプロロジス、日本GLP、大和ハウス工業の3社にスポットを当てる。

プロロジス
――都市近郊の「アーバン」案件が新機軸に

プロロジスが新機軸として打ち出しているのが、都市部にコンパクトなサイズの物流施設を開発する「プロロジスアーバン」だ。第1弾は東京都品川区東品川で既存の建物を改修し、昨年6月に完成した。その後は東京都の足立区と大田区で3棟を開発、建設中の物を含めてトータルで4棟に上る。第1弾の物件を除けば、いずれも延べ床面積は1万平方メートル以下だ。

物流施設の開発が引き続き盛んなことで、優良な開発用地を仕込むのは年々難易度が上がり、大規模なマルチテナント型の物流施設で差別化を図るのも難しくなっている。消費地により近接した都市部でラストワンマイル配送拠点に最適な「プロロジスアーバン」を手掛け、独自性を発揮しようと努めている。

都市部だけに、郊外エリアより当然地価は上がるが、その分賃料を高く設定することへのテナント企業の理解が得られやすいとみられる。開発目標は明確に設定せず、用地をじっくりと選定していくことを基本とし、首都圏以外の関西圏などでも開発を視野に入れている。

都市部の中小規模サイズの物流施設については不動産業界でもかねて「安定したニーズがある」と期待する声が聞かれる。業界の盟主とも言えるプロロジスが注力していることで、今後他のデベロッパーにも開発に本腰を入れる動きが広がる可能性がありそうだ。


羽田空港近隣で建設中の「プロロジスアーバン東京大田1」完成イメージ(プロロジス提供)

日本GLP
――大阪で初の街づくり型開発に進出

日本GLPで注目される取り組みの1つが、大規模な物流施設を特定のエリア内で複数、集中的に建設する「ALFALINK(アルファリンク)」プロジェクトだ。千葉県流山市で既に完成しているものを含めて計8棟、神奈川県相模原市では計5棟を建てる予定。国内では前代未聞の“大型物流タウン”が流山と相模原に完成することになる。

物流施設の機能面を高めるのに加え、相模原の開発はクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がコンセプト作成に携わるなど、物流が持つ社会的意義の大きさを積極的にアピールしていくことにも腐心している。大規模な施設を複数まとめて開発しているにもかかわらず、企業からの引き合いは活発に寄せられており、日本GLPは首都圏に加えて関西圏でも複数のALFALINKプロジェクトを進行させることを念頭に置いている。

もう1つの取り組みは、大阪市の再開発計画に参加し、物流施設2棟を商業施設や公園と一体的に整備する大規模な街づくり開発「GLP大阪市東住吉区まちづくりプロジェクト」だ。土地区画整理事業に主体として加わるのは同社として初めてとみられる。デベロッパーの間では優良な開発用地取得が難しくなる中、区画整理に参加する事例が相次いでおり、GLPの本格展開でさらに注目度が上がりそうだ。


「GLP大阪市東住吉区まちづくりプロジェクト」の完成イメージ(日本GLP提供)

大和ハウス工業
――異色の「全国積極展開」が継続

大和ハウス工業の物流施設事業の大きな特徴なのが、都市部に限定せず地方エリアでも積極的に開発へトライする異色の姿勢だ。戸建て住宅などで全国に展開している営業拠点をフル活用し、需要が見込める優良な開発用地を厳選、取得に邁進している。

同社は今年3月、21年度に「DPL」ブランドのマルチテナント型物流施設32棟で工事を始める方針を明らかにした。棟数を見れば19年度の着工実績の約2倍に相当し、同社としては過去最大規模に到達する見込みだ。開発エリアを見ると、3大都市圏に加えて、沖縄や長野、山口、富山など地方エリアも名を連ねている。22年度以降も、21年度並みのハイペースの着工が続く公算が大きい。

同社は傘下にゼネコンのフジタを抱えていることもあり、以前から区画整理事業を強みとしている。製造拠点などを備えた産業団地を整備し、その中で物流施設をセットで建設するパターンも多い。例えば広島市内では事業面積が「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」の約3・4倍に相当する約7・9万平方メートルに及ぶ産業団地「広島イノベーション・テクノ・ポートⅡ」の造成を進めている。今後も得意の同事業を有効活用していく見込み。

大和ハウスはこれまで、先進技術を持つスタートアップ企業と組み、物流施設内の作業自動化・省人化を後押しできる施策を検討してきた。AGV(自動搬送ロボット)が円滑に作動できるよう、フロアの柱が少なくても強度を維持できる造りにすることを検討するなど、物流施設の在り方についても変革していく方向だ。


宮城県利府町で建設しているマルチテナント型物流施設「DPL仙台利府」の完成イメージ(大和ハウス工業提供)

(藤原秀行)

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