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EVへの「走行中給電」活用が重要、トラック・バスの電動化後押しに

EVへの「走行中給電」活用が重要、トラック・バスの電動化後押しに

三菱総研が普及促進策として指摘

三菱総合研究所は2月16日、EV(電気自動車)の普及促進に関するメディア意見交換会をオンラインで開催した。

同社スマート・リージョン本部先進モビリティグループの高橋香織主任研究員は、国内外で温室効果ガス排出削減に向け、車両を電動化する動きが広まっているのに言及。ガソリン車より航続距離が短いことやバッテリー生産時にCO2を排出していることなどの課題を解決するため、走行中にEVが充電できる技術「走行時給電」の活用が重要と指摘した。

日本や海外で技術研究が進んでいることを紹介し、社会実装されれば物流など商用車のEV化を後押しすることにもつながると期待感を表明。産学官が連携して社会実装に向けた議論を加速していくよう提言した。

公道での利用は2040年ごろか

走行中給電は地面にコイルを埋め込み、EVが上を通過するとワイヤレスで給電するDWPT式、ガードレールから側面へワイヤレス給電する側面ローラ式などがある。日本では東京大学とトヨタ自動車が共同で技術開発に取り組むなど、開発を目指す動きが広がっている。

高橋氏は、バッテリー生産時のCO2排出が原因で、生産から廃棄までの「ライフサイクル」ベースで見るとEVの方がかえってガソリン車より排出量が多いという試算が存在していることを報告。EV向けバッテリーの原材料のリチウム、コバルト、ニッケルは世界的な資源価格高騰に伴い、特にコバルトは主要産地の政情が不安で需給ひっ迫による価格高騰の懸念があることにも触れた。

こうした問題を解決するには、EVへの走行中給電を採用することで、こまめに充電できるようになり、航続距離が延びるとともにバッテリー自体を小型化することも可能になるほか、原材料の調達負荷を減らすと説明。幹線長距離走行の大型トラック・バスはEV化が最も難しい領域になっているが「走行中の給電でEV化も可能になる」と展望した。

また、昼間に走行中給電でEVを充電しておけば、電力需要が多くなる夕方の充電を不要とし、電力需要を抑えられる上、太陽光や風力など再生可能エネルギー由来の電力を有効活用することにもつながるとの見方を示した。

走行中給電の社会実装が進むシナリオとして、まず飛行場やショッピングセンター、イベント会場、大規模工場といった限定した地域内の「非公道」を周遊するバスを対象に導入した後、バスプールやタクシープールなどの「限られた公道」に移行。最終的に高速道路や幹線道路交差点の「公道」に広がっていくとの3段階を提示。時期は「非公道」が2025年ごろ、「限られた公道」が30年ごろ、「公道」が40年ごろとみているNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の調査結果を引用している。

膨大なコストが見込まれるが、高橋氏は日本自動車研究所のデータから、高速道路に敷設する場合は費用が約6600億円なのに対し、効果は約7300億円、一般道の幹線道路交差点の場合は費用が約2兆800億円に対して効果は約4兆4600億円と見積もっていることを紹介。3段階のうち、特に利用する車両台数が多くなる「公道」で費用対効果が大きくなると指摘している。

高橋氏は「世界の状況を見ても(DWPT式は)路面の舗装張り替えのタイミングに合わせて、15年くらいの機器寿命を持たせて設置している」と指摘。コイル設置など膨大な整備費用の財源としては、初期は税金のような公的資金で賄い、その後は車両利用者にも費用を負担してもらうやり方があり得るとの持論を展開した。

今後としては、「これまでの急速充電器や普通充電器に加え、走行中給電なども含めた『未来に関する最適解』を見つけることが望ましい」と主張。官公庁主導で技術開発や議論を盛り上げる仕組みづくりが肝要と分析し、三菱総研としても幅広い業界関係者を「つなげる」活動を通じて早期実現へ向けた取り組みに貢献していくとの方針を明示した。

(藤原秀行)

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