名古屋市でまず11月末まで、5G活用を構想
NTT、NTTコミュニケーションズ、NTTアーバンソリューションズ、NTT都市開発のグループ4社は10月3日、ビル内でのロボット活用による省力化とオフィスワーカーの新しい価値体験・飲食店の販売機会創出などを目指し、モバイルオーダーアプリと連動した自律型ロボットによるフードデリバリの実証実験を同日、名古屋市の「アーバンネット名古屋ネクスタビル」で開始すると発表した。ロボットはZMPの「DeliRo(デリロ)」を採用している。
実現に際しては、NTTの先進通信技術などを活用。ロボットの通信には「高速・大容量」「低遅延」が特徴の5G通信を使い、位置情報や走行時のカメラ映像、複数台の運行状況を管理者へ常時リアルタイムに伝送し、屋内配送の安心・安全なサービス提供を実現する構想を立てている。
NTTアーバンソリューションズは、アーバンネット名古屋ネクスタビルでロボットによる警備・清掃を実施中。今後は、屋内外を含めた街区内でのロボットによる配送、用途の異なるロボットも含めた統合管制、ロボットのマルチユースなど、労働人口減少を見据えたビル・街区におけるロボットのさらなる活用に向け、継続的な検討・検証に取り組む。
ロボット配送サービスおよびシステム概要
宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」
利用シーンとして、急な打ち合わせなどで買い物に行く時間がない忙しいオフィスワーカー向けに、モバイルオーダーから商品を届ける新しい価値体験を創出。
混雑情報や予約情報などのデータを収集、予測・分析して、最適経路/最適運行計画を作成することで、要望する時間帯に、効率的に指定の場所へ商品を配達することを計画している。
オフィスワーカーは、オーダーから決済までアプリで完結。ロボットが自律的に飲食店に集荷・配送するため、飲食店側も新たな販売機会を創出・拡大できると見込む。
ロボットとビル設備(エレベータなど)の円滑な連携機能が普及しつつあり、ロボットによる配送可能な環境が整う中、ロボットに行き先を指定して配達する従来の仕組みから、今回の実証では、ロボットやエレベーターなどのビル設備情報や経路・店舗の混雑情報などをクラウドに集めて、最適化シミュレーションを実施。注文受領後にロボットが人の指示を介さずに自律的に最適なルートを検索して、店舗へ集荷、該当フロアへの配送をすることを目指す。
期間:
STEP1 2022年10月3日 ~ 2022年11月30日
STEP2 2023年1月以降
※STEP1では、一店舗でロボット・飲食店・利用者の基本動作・オペレーションについて確認した上で、STEP2では、対象店舗・利用者を広げて実証予定
場所:
「アーバンネット名古屋ネクスタビル」(名古屋市東区東桜一丁目)
対象者:
「アーバンネット名古屋ネクスタビル」内の飲食店(一部)
STEP1協力店舗は、株式会社小麦家「ESPRIT NAGOYA」
「アーバンネット名古屋ネクスタビル」内テナントオフィスワーカー(一部)
使用ロボット:
株式会社ZMPの宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」
利用料金:
実証実験中の配送料は無料
検証内容:
ユーザ(利用者と飲食店)のニーズに対する検証
利用者のニーズ | ・ 適切な時間内に飲食物が配送されること (予定配送時間の前後5分以内の到着を目指す) ・ 希望どおりに飲食物の受け取りが可能であること |
飲食店のニーズ | ・ ロボット配送のためのオペレーションが店舗運営に支障なくできること ・ 販売機会増に貢献していること |
技術の検証
最適経路探索技術 | ・ 配送時の経路上の混雑やエレベーターなどの利用状況など外部環境を把握・予測し、ロボットの最適経路を計算する技術により、自動で適切な配送が実現できること |
配送計画最適化技術 | ・ 複数の注文に対して、複数のロボットを利用して最短時間 ・ 最小限の稼働で効率的に配送できること |
ロボット制御最適化 システム |
・ 上記2つの技術組み合わせ、利用者が要望する時間に適切に届けるために最適な運行を計画し、配送できること |
【各社の役割】
NTTアーバンソリューションズ | ロボット活用サービス企画、ユースケース検討や検証 |
NTT都市開発 | 実証フィールドにおける実証サービス提供のための各種調整、環境整備などの準備 |
NTT Com | 5G/LTE等の通信環境整備およびロボットに関わるシステム導入の各種検討・調整 |
NTT | NTTスマートデータサイエンスセンタにおける予測最適化技術開発、「街づくりDTC®」を構成するアルゴリズム開発 |
(藤原秀行)※写真はいずれもプレスリリースより引用