高速道路料金の徴収期限50年延長盛り込んだ道路整備特措法など改正案を閣議決定

高速道路料金の徴収期限50年延長盛り込んだ道路整備特措法など改正案を閣議決定

将来の無料化は事実上棚上げに、SA・PAの駐車場整備支援制度の新設も

政府は2月10日の閣議で、道路整備特別措置法と日本高速道路保有・債務返済機構法をそれぞれ一部改正する法律案を決定した。

高速道路の料金を徴収し続ける期限を、現在設定している最長2065年からさらに50年間延長し、2115年9月末まで先送りすることが柱。開会中の通常国会に提出、成立を目指す。

成立すれば、政府が設定している「将来の高速道路無料化」は事実上、棚上げされることになる。

高速道路は現在、建設費などの借金約40兆円を料金収入で返済し、完済した後は無料化することを定めている。政府は2005年、旧日本道路公団の民営化に伴い、2050年までに借金を返済する方針を設定。

しかし、12年に中央自動車道の笹子トンネルで天井板崩落事故が起き、多数の死者を出したため、全国の高速道路の老朽化対策強化へ14年に法改正し、有料期間の期限を2065年まで15年延長していた。

その後、国土交通省の審議会は21年、補修費用の増大などを踏まえて有料期間の延長をさらに検討するよう求める中間答申をまとめていた。

橋梁やトンネルなどの設備で深刻な老朽化が進み、対策に要する費用が膨張することが避けられない上、地方エリアで4車線化を進めていることなどもあり、所管する国交省は整備や点検、補修、設備更新のための財源を確保する必要があると判断した。

法改正に伴い、国土交通省は一定期間ごとに設備補強などの計画を策定、債務を返済する方法を検討する方式を採用するとみられる。

法改正案はこのほか、高速道路料金を確実に徴収できるようにするため、車を実際に運転しているドライバーだけでなく、車検証で使用者に設定されている人に対しても請求可能とすることを設定。

高速道路運営会社がSA・PAで自動車駐車場を整備する際、高速道路機構が無利子で費用を貸し付けられる制度を設け、SA・PAの混雑解消やトラックドライバーが確実に休憩できる環境の整備を後押しすることなどを盛り込んでいる。

(藤原秀行)

法改正案の概要はコチラから(国交省資料)

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