インボイス制度、倉庫・物流業の半数超が「取引先の確認」「免税事業者へ対応の検討」まだ実施せず

インボイス制度、倉庫・物流業の半数超が「取引先の確認」「免税事業者へ対応の検討」まだ実施せず

ダイアログ調査、必要な対応を詳細まで知っている割合は3割

在庫・倉庫管理システム「W3 mimosa」を手掛けるダイアログは5月9日、倉庫・物流業における消費税のインボイス(適格請求書)制度への対応に関する実態調査結果を公表した。

調査サマリー

調査概要:倉庫・物流業のインボイス制度への対応に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査
調査期間:2023年4月5~11日
有効回答:自社のインボイス制度の対応状況を把握している倉庫・物流業の経理・財務担当者86人
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100とはならない場合がある

https://www.dialog-inc.com/

倉庫・物流業の経理担当者のうち、インボイス制度に関する必要な対応を詳細に知っている割合が3割にとどまっていることが明らかにになった。実際の対応状況は7割が「適格請求書発行事業者の登録」は完了していると回答しているものの、実際に制度が始まっていない現段階では「適切な対応方法が分からない」「自社に合うツールが分からない」といった悩みを抱えていることが浮き彫りとなった。

このほか、4割超が「これまでに取引先からインボイス制度に対応するよう依頼を受けた」経験があり、具体的には「事業者登録」や「事業番号の共有」を要請されたことが分かった。

ダイアログは「インボイス制度施行まで残り半年を残した現在、倉庫・物流業では、自社の事業者登録は進んでいても、取引先の確認などの対応が遅れていることが判明した。実際に施行となった場合、適切な対応方法を模索しながら社内ルールを作り上げていくことも想定しながら、社内外の周知徹底など、準備が急務と言えるのではないか」との見方を示した。

対応に要した期間は「6カ月~1年未満」が最多

「Q1.あなたは、インボイス制度についてどこまで認知していますか。」(n=86)と質問したところ、「請求書の発行側・受領側いずれにおいても必要な対応について詳細まで知っている」が26.7%、「請求書の発行側・受領側いずれにおいても必要な対応について概略まで知っている」が33.7%となった。両項目を併せると6割に届いた。

「Q2.あなたのお勤め先で、インボイス制度への対応として行っているものを教えてください。(複数回答)」(n=86)との問いには、「適格請求書発行事業者の登録」が70.9%、「取引先への適格請求書発行事業者登録番号の通知」が52.3%、「取引先の適格請求書発行事業者番号の確認」が46.5%に達した。

Q2で「何も対応していない」「わからない/答えられない」以外を回答した人に、「Q3.インボイス制度への対応にかかったおおよその期間を教えてください。」(n=76)と質問した結果、「2ヶ月~3ヶ月未満」が14.5%、「6ヶ月~1年未満」が22.4%で目立った。

Q2で「何も対応していない」「わからない/答えられない」以外を選んだ人に、「Q4.インボイス制度への対応における課題を教えてください。(複数回答)」(n=76)と問い掛けると、「適切な対応方法が分からない」が25.0%、「自社に合うツールが分からない」が19.7%となった。

Q4で「特にない」「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q5.Q4で回答した以外に、インボイス制度への対応における課題があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=48)と質問したところ、「内外周知徹底できるか疑問」や「大量の請求書の保管作業」など38の回答を得られた。

<自由回答・一部抜粋>
・59歳:適格請求書を発行できない免税事業者との取引が無理になると混乱する。
・50歳:具体的な使用例などがなく戸惑っている。
・53歳:内外周知徹底できるか疑問。
・56歳:システム改修したが本当に大丈夫かわからない。担当者がうまく運用できるか。
・52歳:免税事業者への対応。
・50歳:本当は免税事業者ではないのに、適格請求者事業者登録してくれない取引先への対応に難儀している。
・37歳:大量の請求書の保管作業。

Q2で「何も対応していない」「わからない/答えられない」以外を選択した人に、「Q6.インボイス制度をきっかけにシステムの導入、変更を行いましたか。」(n=76)と尋ねた結果、「行った」が44.7%、「行っていないが、検討している」が38.2%に達した。

「Q7.あなたは、取引先からインボイス制度に対応するよう依頼が来たことがありますか。」(n=86)の設問に対しては、「ある」が47.7%、「ない」が36.0%と拮抗した。

Q7で「ある」と回答した人に、「Q8.取引先から依頼されたインボイス制度への対応を教えてください。(複数回答)」(n=41)と聞いたところ、「適格請求書発行事業番号の共有」が78.0%、「適格請求書発行事業者の登録」が63.4%、「インボイス制度に対応した様式の請求書への変更」が31.7%と続いた。

(藤原秀行)※グラフなどはいずれもダイアログ提供

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