メディセオ、医療用医薬品向け高機能物流センターにGDP対応クラウド型温度管理システムを導入

メディセオ、医療用医薬品向け高機能物流センターにGDP対応クラウド型温度管理システムを導入

神栄テクノロジーが開発、まず岩手・花巻から展開

メディパルホールディングスと神栄は8月16日、メディパル傘下のメディセオが医療用医薬品流通プロセスの全体最適を実現した高機能物流センター(ALC・FLC)での医療用医薬品保管などの温度管理に、神栄子会社の神栄テクノロジーが開発した新たなGDP(医薬品の適切流通基準)対応クラウド型温度管理システムを8月に導入すると発表した。

医療用医薬品の流通に厳格な品質管理が求められる中、メディパルと神栄は2021年12月に資本・業務提携を発表し、「PIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察共同スキーム)GDPガイドライン」に準拠した品質管理と医薬品流通最適化モデルの構築を図っている。

神栄テクノロジーは、各種センサーの研究・開発・製造を行い、校正を実施するセンサーメーカーとしての技術を活用し、センシングの提案から、目的や用途に応じた最適なシステムの選定、測定で取得したデータの活用やマネジメントまでを一貫して管理できるスマートセンシングプラットフォーム「S3 PLATFORM」を構築した。

「S3 PLATFORM」を基に開発した、停電や自然災害時のバックアップ機能を有するなど、さまざまな事象を想定し、トレーサビリティーの完全化を目指したシステムをメディセオのALC・FLCに導入することで、物流トレーサビリティー全体の可視化が可能となり、庫内温度を常時モニタリングすることで、品質管理の向上と情報管理の一元化を達成できると見込む。

新システムは、メディセオの東北ALC(岩手県花巻市)への導入を手始めに、今年9月竣工予定の阪神ALC(兵庫県西宮市)など、各ALC・FLCへ順次導入していく予定。導入後も、実地検証と評価検証を重ねることで、温度ロガーG-TAGシリーズの機種展開を拡大することを目指す。

また、将来は保管から輸送までの全行程で新システムを展開する見通しで、新システムを採用することでさまざまなシステムとの連携も可能になる。

新システムは温度ロガー「PoE対応 G-TAG TempView(型番GT101-T)」と、測定データを自動収集し管理するクラウドシステム「LogView」で構成。このうち、ロガーは新型コロナワクチンの流通温度管理に採用実績があるスマートフォンアプリ対応型温度ロガー「G-TAG TempView」をベースに開発し、物流センター内の温度監視に必要な各種機能を備えている。

国家計量標準に則した校正を行い、設置後の定期的な保守対応により、測定データの信頼性を一貫して担保することが可能。


G-TAG TempView(プレスリリースより引用)

医薬品保管エリアの温度モニタリングポイントは、定期的に温度マッピング(医薬品を保管するエリアの温度分布を把握し医薬品を適切な温度環境で管理することを目的
に、一定期間、温度センサを格子状に複数台設置・測定することで対象エリアの温度分布を評価する手法)を実施した上で決定するよう PIC/S GDPガイドラインで定められている。

新型温度ロガーはPoE(イーサネットケーブルで通信データに加えて、電力を供給する技術)方式により、LANケーブル1本でデータ通信と給電を行うため、電源設備の増設をすることなく設置することが可能。温度モニタリングポイントの追加設置や移動を行う場合もLAN配線を変更するだけで容易に対応できるのがメリットとなっている。

停電などの異常が発生した際、トラブルを自動検知し内蔵するバックアップ用バッテリーとバックアップメモリに自動的に切り換えることで、温度測定と測定データの記録を維
持する。

新システムは、バリデーション(システムの適格性検証)の実施により品質と信頼性を確保しており、全てのALC・FLCで必要とされている温度モニタリングに加え、レポート作成などの機能と、あらかじめ設定した上下限温度からの逸脱などの異常が発生した場合には即座にアラートを発信する機能を兼ね備えている。

(藤原秀行)

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