JLLリポート、日本も継続的な増加見込む
米系不動産サービス大手JLL(ジョーンズ ラング ラサール)は2月7日、アジア太平洋地域の冷凍・冷蔵倉庫市場の動向と今後の展望に関するリポート「コールドチェーン‐市場と投資機会を探る」を発刊したと発表した。
この中で、世界の市場規模(倉庫規模)はeコマース拡大や冷凍食品の利用増などを追い風にして、2014年の5億5000万㎥から2022年には約7億8500万㎥に拡大したと分析。現状の成長ペースを維持した場合、2030年には約11億㎥を超えるとの予測を示した。20年の約7億1900万㎥から10年で1.5倍になる計算だ。
冷凍・冷蔵倉庫のセクターについては、 需要が底堅く、安定した賃料収入による良好なキャッシュフローが期待できる上、ドライ倉庫より高い賃料プレミアムが見込めることなどから「新たな高利回りの魅力的な不動産投資セクターとして投資家から高い関心を得ている」と指摘。
2021年時点の冷蔵・冷凍倉庫の平均取引額は過去10 年の年間平均1910万米ドル(現在のレートで約27億円)に対して2960万米ドル(約41億円)に膨らみ、大型取引の件数も過去10 年の年間平均15件の2倍以上となる最高の32件に達したと解説している。年率で4.5%の成長を遂げているという。
日本の冷凍・冷蔵倉庫市場については、 既存施設の老朽化、ECの食品売り上げ拡大、労働力不足などを背景に需要が増加していると説明。供給面でもドライの物流施設を多数供給してきた大手のデベロッパーが冷凍・冷蔵倉庫の開発にも着手し始めているため、今後継続的に増加することが見込まれるとの見解を示した。
そのため「投資市場での関心は高く、開発案件増加による売買増加と需要の成長性を考慮したリスクプレミアム縮小が予想される」と表明している。
JLL日本法人リサーチ事業部の谷口学シニアディレクターは日本の冷凍・冷蔵倉庫市場について「今は期待が先行していますが、消費パターンや労働市場の変化が賃貸需要の拡大に結び付き、投資対象としてのデータが蓄積、充実することで、多様な投資家の市場参入が可能となり、冷凍冷蔵倉庫市場の長期的な成長につながると考えられる」と語った。
(藤原秀行)