ホルムズ海峡で日本タンカーに何者かが攻撃、炎上

ホルムズ海峡で日本タンカーに何者かが攻撃、炎上

三菱ガス化学子会社が運航、エネルギー・海運業界に激震

※6月13日午後8時すぎに配信した記事を全面的に差し替えました

政府関係者などによると、イラン沖のホルムズ海峡付近で現地時間の6月13日正午ごろ、日本の海運会社「国華産業」(東京・千代田区)が運航する船舶を含む2隻のタンカーが何者かによる攻撃を受け、炎上した。

同社運航のタンカーの乗組員21人は脱出・避難し他国の船舶が救助。全員の無事が確認されている。攻撃による船舶や積み荷の被害・状況などは分かっておらず、日本が標的にされたのかどうかも現時点では不明だ。

ホルムズ海峡は中東産原油を日本など世界各国へ輸出する上での要衝。今回の攻撃は日本のエネルギー・海運業界関係者に激震を及ぼしており、日本の物流業界全体も今後慎重な対応を迫られそうだ。

また、13日はちょうど安倍晋三首相がイランを訪れ、米国との緊張緩和に向け同国首脳らと会談を進めている最中だっただけに、外交筋を中心にさまざまな思惑を呼んでいる。

ロジビズ・オンラインが同日午後8時までに関係省庁の経済産業省と国土交通省の担当部局に確認したところ、「情報収集と問い合わせ対応に追われている」(経産省幹部)、「担当する部局が複数にまたがるため連絡・調整を急いでいる」(国交省筋)と話しており、関係者が混乱・緊迫した状況に置かれていることがうかがえた。

攻撃を受けたのはサウジアラビアからシンガポールなど東南アジア地区に向かっていたタンカー2隻で、国華産業はこのうちの1隻を運航していた。同タンカーはホルマリンや接着剤の中間原料、アルコール燃料などに使用されるメタノール約2万5000トンを積載していたもよう。

国華産業社長「生命や安全が脅かされたことに怒り」

国華産業は1947年に神戸市で創立。85年からはメタノールの輸送を中心とした外航海運業に進出するなど、液体化学品の海上輸送で70年の実績を持つ。

なお同社にはメタノール生産大手の三菱ガス化学(MGC)が50%出資。MGCはサウジでメタノール合弁事業「AR-RAZI」(アル・ラジ)を展開するほか、東南アジア諸国でメタノール原料の化学製品を製造・販売している。このため攻撃されたタンカーはMGCがサウジで生産したメタノールを東南アジアへ輸送中だった可能性が高い。

国華産業の堅田(かただ)豊社長は同日夕、事件を受けて本社で記者会見し「乗組員の生命、安全が脅かされたことへの怒りはある」と厳しい表情で語るとともに、情報収集を急ぐ姿勢を強調した。

(鳥羽俊一)

ホルムズ海峡について

ペルシア湾とオマーン湾を結ぶ海峡で最狭部は約33キロメートル。ペルシア湾沿岸諸国で産出された石油を輸送する海上交通の要衝であり、日本が輸入する原油の約8割と天然ガスの約2割が通る非常に重要なシーレーン。

オマーン湾では今年5月12日にサウジアラビアの石油タンカー2隻を含む船舶4隻が攻撃を受け、ジョン・ボルトン米大統領補佐官がイランの関与について「ほぼ確実」だと述べるなど周辺海域の情勢が緊迫している。

米国との対立関係が続くイランは以前からホルムズ海峡の封鎖を示唆しており、機雷が敷設された場合の掃海任務への海上自衛隊投入について安倍晋三首相が言及するなど、日本経済に与える影響についてはかねて懸念されていた。

(芳士戸亮)

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