災害時の活用想定
金沢工業大学は12月13日、航空システム工学科の赤坂剛史研究室が、大型ドローンによる初の飛行試験を12月10日、石川県白山市の手取川河川敷にある白山ラジコンクラブのラジコン飛行場で実施したと発表した。
バッテリー8個を搭載した大型ドローンは約90kgの重量。飛行試験ではさらに40kgのおもりを積載し、無事浮上した(プレスリリースより引用)
「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL(垂直離着陸機)型有翼電動ドローン」はまだ国内では例がなく、今回の飛行試験はおもり20kg積載とおもり40kg積載で浮き上がるかどうか見極めるために実験を行い、試作機(翼なし)は無事浮上したという。
大型ドローンの開発は、同研究室が大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム 「R6年度 TeSH GAPファンドプログラム」 ステップ1に採択されて取り組む「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL型有翼電動ドローンの事業」の一環として行っている。
1月の能登半島地震では、被災地の港が隆起したため、救援物資輸送船が接岸できないという想定外の課題が浮き彫りになった。ドローンは充電に数時間要するほか、物資輸送に使用するには予備のバッテリーの準備も必要となる。
赤坂准教授は当初、七尾湾から珠洲市までを飛ぶドローンを開発しようと思い至ったが、片道60kmは現在の技術では実現が厳しいため、50kmの飛行を開発目標に設定した。50kmあれば沿岸の船から物資を運ぶことも含め、1回の充電で往復がたくさんできるというメリットもあるという。
飛行試験当日は「最大積載量50kg」を実現する上で事前に技術的な検討を行うために試作した機体を投入。横幅2.5m×奥行き1.5mでプロペラは8つ。機体はバッテリ8個を搭載すると約90kgの重量になる。
ドローンを大型にすると、機体自体の振動が問題になるため、試験飛行ではまずどの程度振動が生じるか検証した。積載なしでは、浮上およぶホバリング時に特に大きな振動がなかったことより、おもり20kg積載とおもり40kg積載で浮き上がるか実験した結果、無事に浮上しました。しかし40kg積載実験直後から雨風がひどくなり、積載量50kgや十分な振動実験はできなかった。
赤坂研究室は今回の飛行試験で得られたデータを基に、固定翼をつけた試作機の開発を進め、2025年3月初めごろの飛行試験を目指す。
(藤原秀行)