協業商品の「クロネコゆうパケット」と併存、翌日配達は見送り
ヤマト運輸は1月21日、日本郵便と協業して2025年2月1日に開始することを予定していた、住戸のポストに直接投函できる小型の薄い荷物を扱う「クロネコゆうパケット」の翌日配達について、実施を見送ると発表した。
クロネコゆうパケットはヤマトが集荷し、日本郵便が自社の配送網を使って配送している。両社は23年6月に協業する方針を発表しており、業務効率化に向け、ヤマトがそれまで自社で展開してきた同様のサービス「ネコポス」を23年10月から順次、クロネコゆうパケットに切り替えてきた。
25年2月1日にはクロネコゆうパケットの配達を現在の「発送日の翌々日以降」から「最短翌日」に短縮する方針だった。併せて、全国でクロネコゆうパケットを使えるようにするスケジュールを打ち出していた。
ヤマトは、ネコポスの廃止から一転して、今後も提供する方針に転換し、クロネコゆうパケットの翌日配達開始は見送ることにした。同社は「『早く商品をお届けしたい』というお客さまのニーズにお応えするため、宅急便と同様のお届け日数で全国翌日配達するネコポスの提供を継続することを決定した」と説明している。
ヤマトは24年11月、日本郵便に対し、クロネコゆうパケットの配達委託中断を申し入れており、配達が想定より遅れていることを理由に挙げていた。一方、日本郵便はヤマトに反発、同12月にヤマトを相手取って、配達業務の受託で利益が得られなくなることへの補填などとして、120億円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。
ネコポスは全国で翌日配達をしており、料金も割安に設定しているため、存続すれば協業の趣旨に反することになる。ヤマトの決定に対し、日本郵便が反発するのは必至で、両社の対立は長期化する懸念が出ている。
(藤原秀行)