【現地取材・動画】EC発送代行のSTOCKCREW、ピッキング用AMRをより有効活用

【現地取材・動画】EC発送代行のSTOCKCREW、ピッキング用AMRをより有効活用

搭載コンテナ台数増やすなどオペレーション見直し、生産性向上

EC事業者の商品発送代行を手掛けるSTOCKCREW(ストッククルー)は4月8日、千葉県八千代市でプロロジスが開発した物流施設「プロロジスパーク八千代1」内に設けている物流拠点「Chiba Dock」(千葉ドック)をメディアに公開した。併せて、今後の事業展開についても紹介した。

同社の事業は一律かつ割安な料金で小規模のEC事業者にも商品発送代行を利用してもらえるよう、中国系のシリウスロボティクス製AMR(自律移動ロボット)を大量に導入してピッキング作業を大幅に効率化、コストを抑えているのが特徴。さらに、昨夏には従来のピッキング方法を一部見直した結果、以前よりも少ないAMRでも同様の生産性を出せるようになったという。

 
 

ヤマト運輸がLINEヤフーのインターネット通販「Yahoo!ショッピング」の出店者向けに展開してきたフルフィルメントサービスを2025年2月20日で終了することを決めたのに伴い、STOCKCREWが出店者の商品出荷代行の受け皿となったため取扱量が急増、Chiba Dockの機能を増強する必要が出てきた。

そのため、STOCKCREWは現在の物流施設の隣に完成したばかりの「プロロジスパーク八千代2」の4階フロアを借り、既に業務をスタートしている。本格的な稼働開始は今年夏を予定しており、シリウスロボのAMRを引き続き使うのに加え、他の自動化機器も積極的に取り入れることを計画している。「Chiba Dock」と連携して出荷能力を相当数強化したい考えだ。


「プロロジスパーク八千代1」の外観(プロロジス提供)


「Chiba Dock」で稼働しているシリウスロボティクス製AMR


ピッキングしたコンテナを仕切るパターンを複数用意し、効率的に梱包などの作業に進めるよう工夫している

Chiba Dockはプロロジスが設定した小規模EC事業向けフルフィルメントサービスを提供するための専用区間「THE CUBE(ザ・キューブ)」の運営を担っている。23年10月、EC市場の成長に伴い商品発送代行のニーズも継続的に伸びると判断し、「プロロジスパーク八千代1」内の約1万1400㎡に入居した。

 
 

投入しているAMRは当初、60台規模でスタートし、サービス利用の伸びに伴って順次台数を増やしている。現状は120台を利用しているが、Chiba Dockで使っているのは80台で、残りは「プロロジスパーク八千代2」の新拠点で利用する。

AMRはピッキングすべき商品が納められた棚の場所へ移動し、パネルの画面上に商品の概要やピッキングする個数を表示。スタッフがAMRの指示通りに商品を搭載しているケース内に収めると、AMRが次のピッキング対象商品のところまで再び自律移動する。

AMRを本格的に稼働させたことで膨大な紙の出荷リストが不要になり、誤出荷のリスクが低減、同一のフロア規模で必要なピッキング作業スタッフの数を従来の半分程度に抑えられた。庫内作業スタッフがピッキングのために庫内を歩き回る距離を大幅に短縮、就労環境の改善にもつながっている。

商品の保管にも工夫を凝らしている。現在は3段のネステナーで商品を保管しており、このうち一番下に売れ行きが良い高回転の商品を、2~3段目はそこまで頻繁には出荷しない商品をそれぞれ収めている。


整然と保管している在庫スペース

AMRのピッキングは1段目の商品を対象に実施している。ただし、すべて出荷されることが確実な売れ筋商品については、1段目でもパレットに段ボールケースのまま保管する場合もある。

 
 

ネステナーの一番下はプラスチック製ケースを複数積み重ね、売れ行きが良い高回転の商品を1個から保管している。1つのケース内に複数のEC事業者の商品を詰め合わせることもできる。ケースごと引き出せばすぐに商品を取り出せるため、作業スタッフはAMRの指示に従い、迅速にピッキングを進められる。

併せて、在庫のメンテナンスを担当しているチームが自社の管理システムで各商品の回転率を日々チェックし、1段目に入っている商品でも出荷頻度が落ちてくれば上段に移し替えるなど、最適な在庫配置に努めている。

昨年夏以降には、それまではAMRでピッキングする際、商品を納めるコンテナを1台搭載していたが、2台に増やし、ピッキング1回当たり処理できる件数を増やしている。最大でAMRを100台ほど使う必要があったが、現状は最大80台に絞り込めており、残りは「プロロジスパーク八千代2」の新拠点で有効活用する。

さらに、1品のみ購入するオーダーが入った商品のみを専用のコンテナにまとめてピッキングし、出荷作業時に仕分けする形に移行したことで、ピッキングがよりスムーズに進められるようになったという。


コンテナを2台搭載し、処理できる件数を増やした


1品のみ購入の商品をまとめてピッキングする専用コンテナ

STOCKCREWの保阪涼子マーケティング部マネージャーは「プロロジスパーク八千代2の新たな拠点では、Chiba Dockで蓄積してきた自動化やオペレーション改善のノウハウを活用していきたい。AMR以外にも多様な自動化機器を取り入れることを検討しており、夏くらいには構想を発表させていただきたい」と語っている。

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事