フィジカルインターネット実現会議の作業部会、データをそろえ共有有しやすく
三井化学などは6月29日、経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内に設置し、同社などが参加している「化学品ワーキンググループ」(座長:流通経済大学 矢野裕児教授)が、「物流2024年問題」に伴う輸送力不足への対応促進と、化学品業界の共同物流拡大のため、化学品物流のデータ標準化に向けた「化学品物流情報標準ガイドライン」を策定したと発表した。
各社間で異なっていた荷姿や重量、危険物の種類などの表記を、ガイドラインに基づいて共有のものに変換、輸送の共同化を実現しやすくする。
ワーキンググループには、現在、荷主事業者、物流事業者を中心とする86企業・1大学、日本化学工業協会、石油化学工業協会、経産省・国交省・厚生労働省の関連各部署などが参加。三菱ケミカル、三井化学、東ソー、東レの4社が事務局を務めている。
今回のガイドライン作成プロジェクトには旭化成、クラレ、住友化学、積水化学、ダイセル、帝人、東亜合成、東ソー、東レ、三井化学、三菱ケミカル、レゾナックほか合計21社が携わっている。
ガイドラインに基づき、ワーキンググループを中心に2026年度、実証を開始し、28年度の社会実装を目指す。
化学品物流は2024年問題を契機に、ドライバー不足と輸送能力低下が一段と深刻化しており、特に危険物輸送は専門知識を有する人材に依存しているため、代替要員の確保が容易ではないのが課題となっている。対応が遅れれば、必要な輸送力を安定的に確保できなくなり、化学品の安定供給や企業活動にも影響が及ぶ恐れがあると懸念、ガイドライン作成に踏み切った。
輸送力不足への対応として、共同物流を進めることが不可欠だが、企業ごとに物流データの定義や形式が異なることが大きな障壁となっている。荷主・物流事業者間でデータを連携するたびに個別の調整が必要となり、共同物流の取り組み拡大を妨げている。
こうした状況を踏まえ、ワーキンググループは化学品物流の持続性を確保するための基盤づくりとして、業界横断でのデータ標準化および情報連携基盤の構築のためにガイドラインを取りまとめた。
国が提唱する「物流情報標準ガイドライン」を踏まえ、化学品物流の実務に必要な情報を補完・具体化。荷姿、危険物区分、温度条件、輸送サービスなど、業界特有の情報が多く存在しており、ガイドラインはこうした要件を反映して、業界横断で共通して利用できるデータ項目、業務プロセスを整理した。
具体的には、危険物輸送に必要な情報管理や輸送条件など、化学品特有の物流要件にも対応したデータ項目を定義し、企業ごとに異なっていたデータ項目や形式を共通化することで、荷主と物流事業者の間で発生していた個別調整の負荷を低減できると見込んでいる。
併せて、各社が保有する既存データを標準フォーマットに変換、データを一元的に管理・連携できるようにするデータ連携基盤を化学品物流業界として初めて導入することを打ち出している。
従来の荷主1社に対し、物流事業者1社という個別連携(1:1)から、複数の荷主・物流事業者が同時に情報をやり取りできる仕組み(N:N)へ転換し、各社の既存データを活用しながら効率的かつ柔軟なデータ連携を実現することを目指す。
従来のように個社ごとの調整や属人的な対応に依存した運用から、標準化された、再現性の高い情報連携へと転換し、共同物流の拡大を支える基盤の整備を進められると見込んでいる。
26年度下期(26年10月~2027年1月頃)はデータ連携の実証を行い、ガイドラインが実際の共同物流の現場で有効に機能するかを検証する。並行して、運用時に生じる課題を洗い出し、必要に応じて運用ルールの見直しに踏み切る。
実証では、広島を起点、関西地域を着地とする輸送レーンを対象に、集荷・幹線輸送・配送を組み合わせた共同輸送モデルを検討・実施する予定という。
その後、28年度頃に実証で得られた成果や課題を踏まえ、ガイドラインおよび運用ルールを高度化した上で、中京・関東エリアなど他地域へ展開し、共同物流の社会実装を狙う。
運用ルールの継続的な改善に加え、参画企業の拡大を推進するとともに、海上輸送や鉄道輸送など他輸送モードへの適用範囲を拡張し、より広域かつ異業種連携をも視野に入れ、多様な共同物流の実現と持続的な発展を目指す。

実証実験と今後の展開
さらにAIマッチングを用いて、ガイドラインに基づき化学業界で3標準化した輸送依頼・実績データを活用し、輸送条件、混載可否、車両特性などを踏まえた最適な組み合わせを自動的に抽出。従来の属人的な調整を自動化する。ワーキンググループの関係者は、積載率の向上や空車の削減を通じて、効率的かつ持続可能な共同物流を進めていきたい考え。

化学品WGが目指す共同物流のイメージ
(藤原秀行)※いずれも各社提供









