ニーズの高まりに対応、採用のミスマッチ回避をサポート
外食・物流業界など向けの単発アルバイト仲介サービスを提供しているタイミーは7月30日、新たに「長期アルバイト採用サポートプラン」を8月1日に始めると発表した。タイミーの仲介サービスを利用する事業者とワーカーの双方で長期就労のニーズが高まっているのを踏まえ、希望者同士の接点を増やす機能を提供する。
東京都内で記者会見したタイミーの小川嶺社長は「第2の事業の柱としていく」と語り、新サービス拡大への意気込みを表明した。同社はサービス開始の初年度で数億円の売り上げを見込む。会見では先行導入した企業2社の担当者が導入の背景や効果を語った。

新サービスへの意気込みを語る小川社長
タイミーの単発アルバイト仲介は、空き時間を利用して短時間働く「スポットワーク」を希望するワーカーと、人手が必要な事業者をマッチングしている。最近は単発仕事にとどまらず、ワーカーが長期で働きたい職場を探すためスポットワークを活用するケースが広がっている。
タイミーの単発アルバイト仲介に登録するワーカーを対象に同社が実施した意向確認結果によると、有効回答約462万人のうち2割超の120万人以上が長期アルバイト就業を希望している。人手不足が深刻化する中、事業者側でも長期就業人材の効率的な採用手法としてスポットワークを活用するケースが増えているという。
「長期アルバイト採用サポートプラン」は、スポットワークをプレバイト(お試し就労)として活用し、長期アルバイトの採用に結びつけられるようにするために開発した。
ワーカーが単発アルバイト仲介のアプリ上にある「働き方意向登録」で「長期バイト」を選択すると、事業者が登録したプレバイト求人を公開。1日限りのプレバイトを通じて、ワーカーは職場の雰囲気や業務内容を、事業者はワーカーの働きぶりや職場との相性をそれぞれ確認できるようにする。
プレバイト終了後のアンケートでワーカーが「長期就労に興味あり」と回答すると、事業者は当該ワーカーにメッセージを送り、声掛けやアプローチができるようになる。事業者のアプローチを受けてワーカーが応募、双方が合意すれば長期アルバイトとして働けるようになる。長期アルバイトの契約は各事業者が独自に行い、タイミーは関与しない。

サービスの特徴。一般的なプロセスと逆に、採用前に職場との適性を労使双方がチェックできるようにする(タイミー提供)
会見で小川社長は新サービスに関し、社長直下の新規事業と注力度の大きさを強調した上で「長期アルバイトの採用は、面接だけでは適性を判断しきれない場合が少なくない。その結果として短期間での離職が起きれば、仕事を探すワーカーと人材を探す事業者の双方に大きな負担が生じる。今回の新サービスは、先行導入で試していただいた複数の企業で成果が出ている」と指摘。採用ミスマッチ対策としての実効性の高さに自信を見せた。
同席したタイミーの池田俊取締役CPO(最高製品責任者)は「特定の協力企業への調査結果ではあるが、当社のスポットワークを経て長期採用に結びついたワーカーは、入社から半年後の在籍率が、他のルートで採用したワーカーに比べ10%高かった」と説明。採用前に労使双方が適性を試せることの意義をアピールした。
先行導入企業は「ミスマッチ防止効果を実感」と説明
新サービスに関して、先行導入してPoC(概念実証)に協力した企業は100社以上に達しているという。記者発表会ではその中から居酒屋経営の一家ダイニングプロジェクトと、給食・食堂運営のシダックスフードサービスの導入部門責任者が登壇した。
一家ダイニングプロジェクトは、都心店舗では従来の採用手法では応募が集まりにくく、社員や多店舗からのヘルプ対応が常態化していた。郊外店舗では人手不足が慢性化していた上に、周辺に系列店舗がなくヘルプ対応も困難だった。さらに、面接の限られた時間内では、候補者の働きぶりや店舗文化との相性を判断することが難しかった。
同社の藤沢陵哉にのや・こだわりもん一家業態長は「タイミーの仲介はマッチング率が高かったので、今回の新サービスの提案を受けた際に効果が出そうだと考えた」と導入のきっかけを明かした。
新サービス導入後、都心・郊外の複数店舗で計14人の長期アルバイト採用が実現。プレバイトを通じて事前に職場との相性を確認できたためミスマッチも回避できているという。藤沢氏は「店長も面接経験が少ない人が珍しくないので、従業員と店舗の双方に助けになっていると思う。長期アルバイトから正社員登用にもつながり始めている」と説明した。
シダックスフードサービスは、給食・食堂運営という外部から見えにくい業態の特性上、従来の求人採用手法では人材との接点が困難だった。吉田耕太執行役員は「それでもタイミーのスポットワーカーなら来てくれるので、現場からも非常に助かるとの声が上がっていた。スポットでの仕事から長続きする人材もいて、ミスマッチを防ぎやすいことも分かっていた」と、新サービスを先行導入した理由を語った。
導入後は複数拠点で計24人の長期アルバイトの採用が実現しており、吉田氏は「早期離職が発生しにくいことは本当にありがたい。一度働いてから長期就労を考えるというプロセスは、労使双方にとって公正なのではと思う」と語った。

導入のきっかけと成果を語る一家ダイニングプロジェクトの藤沢氏(左)とシダックスフードサービスの吉田氏(中央)
(石原達也)







