多様化するテナントニーズに即応
東京建物は10月5日、千葉県習志野市の物流施設「T-LOGI南船橋」が9月30日に竣工したと発表した。10月5日に現地で報道関係者向けの説明会を実施した。
延床面積は9万6392㎡で、同社としては関東で竣工済みの「T-LOGI」シリーズで最大規模。説明会では担当者が東京湾岸エリアの好立地が生み出す高い輸配送効率と人材確保上のメリット、多様化するテナントニーズに応える施設設計の妙を説明した。

「T-LOGI南船橋」の外観(この写真のみ東京建物提供)
「人と物の動線」担う中継地
T-LOGI南船橋はRC・S造の4層ランプ型構造で、人気の東京湾岸エリアにあり、なおかつ東関東自動車道の谷津船橋ICから約0.1km、京葉道路の花輪ICから約0.8km。「狭域エリア配送にも広域エリア配送にも対応する」(東京建物)好立地が特長。
同社は東京湾岸エリアの千葉県湾岸部で、同施設を含め計5棟を開発(うち2棟は開発中)しているが、全て満床稼働または成約済みという。
同社ロジスティクス事業部リーシンググループの水谷壮志グループリーダーは「東京湾岸エリアは都心部への配送需要に加えて、既存倉庫の集約や移転に伴う需要を取り込んで堅実に推移している」と期待を込める。
加えて、「人の動線にも優れているのが当施設最大の特徴」と水谷氏。JR京葉線の南船橋駅から徒歩11分。人気の東京湾岸エリアでも、働くスタッフが駅からバスに乗り継いで通勤する必要がある物件も少なくない。駅から徒歩圏内という優位性は人材確保面でも強みを発揮すると強調する。
施設はマルチテナント型として、小規模区画の賃貸ニーズにも対応できるよう、中央をトラックが通過する「センター車路」方式を採用した。1階の一部区画は施設の壁側にもトラックバースを備える「両面バース構造」とし、荷物積み替え拠点として対応するほか、入居企業からの要望を受け、冷凍冷蔵設備の区画を整備した。
3~4階部分はメゾネットタイプで、各分割区画に荷物用エレベーターと垂直搬送機を設置。最大4テナントが2つの階をまたいで一体運用する利用形態に対応する。メゾネットタイプとすることで4階は中央車路とトラックバースをなくし、「保管面積をできるだけ広く取りたいというニーズに対応した」(同グループの坂井彩夏氏)という。

1階のセンター車路

センター車路から見た両面バース

自動昇降機を備えた4階区画
施設内の就業環境も人材確保に一役買う。3~4階には従業員専用のラウンジを計3カ所設置。Wi-Fiや無人コンビニを備える。一部ラウンジは壁をガラス張りにし、シギやチドリ類などの渡り鳥が栄養補給と休息を取る中継地としてラムサール条約登録湿地に認定されている谷津干潟を望む。
坂井氏は「快適な就業環境はワーカーの定着率向上にもつながるので、デザインにもかなり力を入れている」と解説した上で、「谷津干潟にちなんでラウンジの名前も全て渡り鳥の名前にしている。当施設が物流の中継地になるようにとのコンセプトを込めた」と、開発秘話を披露した。


明るい雰囲気の従業員用ラウンジ
環境配慮の取り組みとして、屋上に設置された太陽光パネルで発電された電力を自家消費する。余剰電力は都心に立地する施設にも送電することで、再生可能エネルギーを余すことなく活用する予定。
「半BTS型」武器にニーズ捉える
施設見学に先立って行った説明会では、物流施設事業が同社にとって「資産回転型事業」の中核を担うセクションと位置付けた上で、T-LOGIシリーズが2018年から8年で50超のプロジェクトを展開し、これまで計22棟が竣工、25年末までの竣工物件は契約調整中を除いて満床稼働と成果を強調した。
引き合いの高さを生み出す原動力として説明会で挙げたのは、顧客ニーズを開発に素早く反映する〝フィードバック力〟。ロジスティクス事業部の末棟裕介部長は「用地取得から企画・開発、リーシング、管理・売却までの行程を40人超の専門部署が一括して所管する。各工程が縦割りにならずプロジェクトを進められる。営業でうかがった顧客の声が即座に部内で共有され、次の用地取得や施設計画に反映される」と胸を張る。
「半BTS型」と称する、マルチ型を維持しながら部分的なオーダーメードに対応する開発手法も、このフィードバック力を生かした武器だ。リーシングの過程で検討企業の要望に応じ、これまでも垂直搬送機や荷物用エレベーターの全階着床や倉庫区画の事務所転用に伴う用途変更などに対応してきたという。

ラウンジから谷津干潟を望む
T-LOGI南船橋でも、もともと常温倉庫だった区画を、入居企業の要望を受けて冷凍冷蔵設備に切り替えた。末棟部長は「建設を手掛けてくださるゼネコンさんには申し訳ないが、要望に順次対応していくことで、テナントからも『今後も連携を』というお声をいただいている」と手応えを口にする。
今後の開発については、「これまで自前で建てることが当たり前だった冷凍冷蔵倉庫などの賃貸ニーズが顕在化している」とした上で、「ドライ併設型も含めて冷凍冷蔵倉庫を今後4年間で11物件開発する計画を進める」と明言した。エリアも関東だけでなく関西や中京、九州にも拡大させる方針だ。
末棟部長は「建設費の上昇で、投資可能エリアは5~6年前と比較してだいぶ限定されてきた一方、拠点配置を見直すことで物流効率を高めるニーズは強まっている。施設に賃料をいくら払うかではなく、この施設を使うことでいかに効率性を高め、全体コストを抑えられるかが重視されている」と語り、ニーズを捉えた投資を積極化する考えを示した。
物件概要
所在地 千葉県習志野市茜浜一丁目1番2号
交通 東関東自動車道「谷津船橋」IC 約0.1km / 京葉道路「花輪」IC 約0.8km / JR京葉線「南船橋」駅 徒歩約11分
敷地面積 38,200.71㎡(約11,500坪)
延床面積 96,391.85㎡(約29,100坪)
規模 4層ランプ型(3・4階メゾネット)
設計・施工 前田建設工業株式会社
工期 着工:2024年11月12日、竣工:2026年9月30日
構造 RC・S造
耐震区分 耐震
プラットフォーム 1階:高床式1.0m
梁下有効天井高 各階5.5m ※一部を除く
柱スパン 11.5m(W)×10.5m(D)
床荷重 1.5t/㎡
ドックレベラー 1~3階:各4基
バース数 1階:100台、2階:76台、3階:76台
普通駐車場 157台 ※軽自動車専用を含む
トラック待機場所 7台
アメニティ 従業員向けラウンジ
(佐久間修志)






