キリングループロジが「運びきる力」維持へ車両台数確保や物流拠点整備に積極投資継続

キリングループロジが「運びきる力」維持へ車両台数確保や物流拠点整備に積極投資継続

輸送協力会役員会で表明、先進機器駆使し作業時間短縮も

キリングループロジスティクス(KGL)は11月1日、東京都内で、第3回の「全国輸送協力会役員会」を開いた。

会合には協力輸送会社19社のメンバーらが参加。KGL幹部からは、スローガンで常に打ち出している安定輸送の「運びきる力」を今後も維持するとともに、協力運送会社の負荷を軽減して働きやすい環境を徹底するため、今後も各拠点で先進機器を駆使して積み込みや検品の作業時間短縮などを強力に推進していく方針を表明した。

併せて、車両台数確保や新たな物流拠点整備など、積極的に必要なポイントへ投資していく姿勢をあらためてアピール。このほか、中央省庁や運送事業者、飲料メーカーの担当者らが参加した「飲料配送研究会」が今年7月に取りまとめた報告書の内容を踏まえ、輸送時に荷崩れなどで飲料の包装が傷付いた際のルールをあらためて整備していくことを確約した。

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役員会の会場

復路活用した物流サービスの外販拡大に注力

席上、KGLの戸叶弘社長は「最も大事なキーワードは『運びきる力』。お客さまからも期待されているので、その使命をしっかりと果たさなければいけない。各社さまにご協力いただけるからこそ実現できている」とあいさつ。今夏の猛暑に伴う酒類や飲料の需要増も乗り切ることができたと協力会会員に謝意を表すとともに、年末年始の繁忙期も同様に協力を要請した。

政府が運送事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの長時間労働抑制などに取り組む「ホワイト物流」推進運動に賛同して自主行動宣言を出したことにも触れ、「労働力不足を背景とした物流業界への逆風はますます強くなると思うが、ぜひ一緒に力を合わせて立ち向かっていきたい」と決意を表明した。


あいさつする戸叶社長

続いて、窪田圭吾経営企画部長は19年にスタートした新たな中期経営計画の内容を説明した。「KGLに関わる全ての人たちを豊かに、幸せに」との理念を中核に据えており、中計の対象期間は「運びきる」力を向上させる3年間と位置付けている点を強調。安定した物流基盤を維持・発展させる上で協力輸送会社の存在が不可欠との認識を全面にアピールした。

基本戦略シナリオとして、安定的なロジスティクス基盤の確立と持続安定的な成長のための貨物獲得、個人・組織能力の向上の3点を互いに連携させながら確立していく姿を明示。そのための重点項目には、各拠点の出荷・作業能力の強化につながる投資、必要となる車両台数の確保や長時間の拘束回避といった協力運送会社の要請への対応など5点を推進することを力説した。

また、取り扱う荷物量を増やして協力輸送会社の収益安定にも貢献するため、荷台が空になる復路を活用した物流サービスの外販拡大に注力していく方針を示した。


中計の内容を解説する窪田氏

フォークリフト用タブレット端末で積み込み前の荷ぞろえ促進

近藤太郎常務執行役員物流管理部長は、トラックドライバーの物流拠点での手待ち時間を減らし、円滑に積み降ろしを済ませることができるよう、既にフォークリフトの配置増強や新たなWMS(倉庫管理システム)導入を進めてきたことに言及。

さらに、今後の施策として、9月から事前に納品先へ商品鮮度日付情報を提供し、検品の簡易化・効率化を図っているほか、今年11月以降、工場での入門から受け付け、積み込み、出門に至るまでの総滞留時間の実態把握と可視化でオペレーション効率化につなげる取り組みを順次展開すると説明。

12月からは拠点でフォークリフト用タブレット端末を駆使して積み込み前の荷ぞろえを促進し、作業時間を短縮するとともに、ハンディーリーダーで検品作業も迅速化することを同時に展開していく計画を打ち出した。近藤氏は「施策を積み重ねることにより、できるだけ負荷と手待ちが少ない日々の輸配送を実現し、皆さまとともに将来的に安定した物流をしっかり構築していきたい」と述べた。

また、中央省庁や運送事業者、飲料メーカーの担当者らが参加した「飲料配送研究会」が今年7月に取りまとめた報告書にも触れ、輸送中に積み荷が毀損した場合の輸送事業者への請求内容を報告書にのっとって見直していくことなどを表明した。


手待ち時間削減策を説明する近藤氏
(藤原秀行)

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