物流ロボットなど自動化機器が多数お目見え
アジア最大級の物流に関する展示会「国際物流総合展2021」が3月9日、愛知県常滑市セントレアの「Aichi Sky Expo」(愛知県国際展示場)で開幕した。
同12日までの期間中、245社が775のブースを設け、庫内のピッキングや入出荷をサポートする物流ロボットなどの先端技術とソリューションを多数展示。期間中に延べ3万人の来場者確保を目指す。例年は東京で実施しており、今回は愛知で初の開催となる。
展示会は日本ロジスティクスシステム協会(JILS)、日本能率協会、日本産業機械工業会、日本産業車両協会、日本パレット協会、日本運搬車両機器協会、日本物流システム機器協会の7団体が共催。
今回は「ロジスティクスのRe Design(リ・デザイン)」をテーマに掲げ、人海戦術が主だった旧来のオペレーションを改め、デジタル技術を駆使して労働生産性改善や環境負荷低減、サービスレベル向上を実現、持続可能な物流に「リ・デザイン(再構築)」していくことを目指す姿勢を鮮明に示している。
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、初の試みとしてオンラインを活用した「バーチャル物流展」も会期初日から5月末まで開催。ウェブ経由で出展製品・サービス情報の検索や資料のダウンロード、出展者への問い合わせが可能となっている。
開幕のテープカットに臨む関係者ら。前列中央が愛知県観光コンベンション局 の武田光弘観光推進監、後列右端がJILSの橋爪茂久専務理事、左端が日本能率協会の中村正己会長
受付に並ぶ来場者
中国系企業の熱の入れ具合が目立つ
会場では各社が技術の粋を集めた物流ロボットなどの先進的機器が多数お目見えし、自動化・省人化のニーズに応えようとアピールしていた。オカムラはロボット自動倉庫システム「オートストア」に加え、ピッキングシステム「RightPick(ライトピック)」、自律搬送ロボット「ORV」を展示。入出庫からピッキング、搬送までの一連の流れを自動化することを提案している。
このうちORVはエレベーターなど狭い空間にかご車をぴったり並べて入れるなど、従来の搬送ロボットでは難しかった動きを可能にしているという。
ピッキングシステム
自律搬送ロボット
日本GLPと三井物産、豊田自動織機が出資しているプラスオートメーションは、「倉庫の自動化をもっと簡単に、身近に」をテーマに設定。月額の定額制でロボットをレンタル可能な「RaaS(Robot as a Service)」形式で提供している中国Zhejiang Libiao Robots(浙江立鏢機器人)製のベルトコンベヤー型ソーティングロボット「t-sort」やRapyuta Robotics製のAMR(自律移動ロボット)「PA-AMR」を出展していた。
中国・深圳のスタンダード・ロボットは自主開発したレーザー技術を生かしたモバイルロボットシャーシなどを展示。床にレールやQRコード、テープなどを敷設せず物流施設内を自律的に移動できるのが強み。ロボット上部の荷物を搭載する場所はモジュールのアレンジを可能にしてさまざまな材料や道具を運べるようにし、汎用性を高めている。
2020年6月から日本企業向けに試験導入などを進めており、今年6月には大手製造業で数十台規模の運用が始める予定という。
スタンダード・ロボットの出展ロボット
同じく中国系のHikrobot(ハイクロボット)も、かご台車などの下に潜り込んで持ち上げるタイプのAMRやFMR(フォークリフト搬送ロボット)を展示。FMRは高精度なレーザーで周囲の環境を確認しながらパレットなどを運搬する。さらに、高さ5メートル超までシャシーを伸ばせるCTU(コンテナ自動保管ユニット)も登場、庫内の空間使用効率を高められる点をアピールしていた。中国系企業の熱の入れ具合が伝わってくるようだ。
伊東電機は現在開発中の新たな荷さばき機などを展示。商品のバーコードをスキャンし、高速で仕分けできるシステムは大手物流業やEC企業などと共同実証実験を展開しているという。物流現場のピッキング自動化ソリューションを前面に打ち出している。
新たな仕分け機
主要な物流事業者では日本通運や日立物流、鴻池運輸などが参加。このうち日本通運は日通商事と連携し、食品やワクチンの低温輸送ソリューションを積極的にアピール。販売を代行しているリーファーコンテナやマイナス70度以下を保持できる断熱ボックスなどをそろえている。
日立物流と日立物流ソフトウェアは事業・業界を超えた協創領域拡大を体現しているブランドコンセプト「LOGISTEED」で展開しているソリューションをブース全体で紹介。鴻池運輸はインドの鉄道輸送事業に参入したと大々的にPRし、愛知県の自動車産業関係者らに売り込んでいた。
(川本真希、藤原秀行)