経済活動再開で上向く、海上コンテナ不足などで運賃高騰も追い風
ロジビズ・オンラインはこのほど、東京証券取引所などに上場している主要物流企業のうち、決算期を3月に設定している72社の2022年3月期(21年度)連結業績予想(一部は単体ベースのみ開示)を集計した。
前期の21年3月期(20年度)実績に比べ、売上高は8割、本業のもうけを示す営業利益は7割が上回るとみていることが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の19年3月期(18年度)の水準と比較しても、売上高で5割、営業利益で6割程度の企業がそれぞれ実績を超えるとみている。
コロナワクチンの接種が広がって経済活動の再開が進んだことが業績を上向かせているようだ。国際物流を手掛ける企業にとっては、海上コンテナ不足などで運賃が高騰していることも追い風になっている。
なお、一部の企業は会計制度を集計対象期間中に変更しているが、今回は全体の傾向を見るため、72社全体を比較対象とした。また、倉庫・運輸関連業の2社は20年3月期(19年度)に上場したためそれ以前の連結業績データがなく、18年度の集計対象は全体で70社となっている。
陸運、海運、倉庫の各業種で回復傾向
21年度業績予想を見ると、売上高は20年度実績より増加するとみている企業の割合が81・9%(59社)だった。減少を見込む企業を大きく上回った。9月中間決算の発表に合わせて、トータルで31社が21年度の予想を上方修正しており、全体的にコロナ禍の打撃を1年通じて受けた20年度から業績の回復がさらに進むもようだ。
21年度予想が19年度実績より増加するとみている企業は56・9%(41社)、18年度実績比較では50・0%(35社)となった。19年度は第4四半期(20年1~3月)にコロナ感染が拡大、収益面で影響を受けた企業が相次いでいた。
一方、営業利益は21年度予想が20年度実績を超えると予想している企業が76・4%(55社)に達した。19年度比では70・8%(51社)、18年度比でも64・3%(45社)だった。
業種別の21年度業績予想は、陸運業32社で20年度実績を上回ると見積もっているのが売上高で84・4%(27社)。19年度実績、18年度実績との比較ではいずれも56・3%(18社)だった。
営業利益は20年度実績比でプラスが93・8%(30社)。19年度、18年度との比較ではそれぞれ75・0%(24社)と62・5%(20社)となった。
海運業11社は売上高が20年度比較で100%(11社)、19年度が63・6%(7社)、18年度が54・5%(6社)。営業利益がそれぞれ81・8%(9社)、63・6%(7社)、45・5%(5社)だった。
倉庫・運輸関連業29社は売上高が20年度比較で72・4%(21社)、19年度が55・2%(16社)、18年度が37・9%(11社)。営業利益がそれぞれ82・8%(24社)、69・0%(20社)、74・1%(20社)に達した。
いずれの業種も、21年度業績予想はコロナ前の水準まで回復するとみている企業が増えていることが明らかになった。
(藤原秀行)