「路面状態をAI解析しリアルタイム判定」の実証実験を福井県で実施へ

「路面状態をAI解析しリアルタイム判定」の実証実験を福井県で実施へ

Specteeと日本気象協会、豪雪でも高精度で見極め可能目指す

SNSを生かした災害・リスク情報の解析を手掛けるSpectee(スペクティ)は12月14日、日本気象協会、福井県と共同で2020年から実施している路面状況確認カメラで得られた画像の情報と気象条件を組み合わせたAI解析による「路面状態のリアルタイム判定」の実証実験について、12月から本格的な福井県民向けサービス運用に向け、精度向上と「路面状態予測」を組み合わせた実証実験を行うと発表した。


実証実験のイメージ

福井県は近年、冬期の豪雪による雪害や大規模な車両の滞留が発生し、県民生活に大きな影響を与ている。特に18年2月の豪雪では、立ち往生した車両が多く発生したことにより、国道8号で約1500台もの車両が長時間にわたって足止めを余儀なくされたほか、県管理道路でも複数の車両でスタックが発生し、県内の道路交通に大きな障害が生じた。

道路管理者は、主にカメラを見ることで路面状態を確認しており、福井県では約200台のカメラを設置している。一方、広範囲に多数設置されたカメラを人の目だけで常時確認することは負荷が大きいため、20年度はスペクティと日本気象協会が共同開発したAIによる「路面状態判別技術」について、福井県内のカメラ3台を用いて実証実験を行い、精度を検証した。

実証実験の期間中の今年1月には、冬型の気圧配置により日本海側は大雪となり、福井県内では大規模な交通障害が発生。その際にもAIが路面状態を24時間絶え間なくリアルタイムで解析した結果、特に日中では人の目による判別結果と遜色のない路面状態判別が実施できるなど、定の成果を得られたという。一方、夜間やカメラのレンズに雪が付着した場合のように、人の目でも路面状態の判別が難しいような状況では、路面状態判別の精度が低下するという課題も明らかになった。

20年度の実証実験の成果を踏まえて、21年度はカメラだけでは判別が難しい状況での精度向上を図るため、日本気象協会が所有する気温や降水量などの様々な気象データを組み合わせ、より精度の高い路面状態判別を目指す。カメラ画像と気象データの「ハイブリッド解析」により、これまでAIの画像解析だけでは判別が困難だった「凍結」と「湿潤」を正確に見極められるようになることが期待される。

また、実験ではカメラの台数を20年度の3台から20台へ大幅に増やし、福井県内のより広範囲な地域で、カメラ画像と気象データを組み合わせたAIによる「ハイブリッド解析」を実現する。様々な交通量の山間部・平野部といった複雑な条件下での「路面状態判別技術」の有効性を検証する。

スペクティと日本気象協会は、本実証実験を通じて「ハイブリッド解析」による日中、夜間を問わず路面状態をリアルタイムで正確に把握できるようにしたい考え。さらにこの技術が、福井県に限らず全国の道路管理者や自治体に展開し、道路管理や防災事業に関わる関係機関の適切な判断や作業に活用され、将来は自動運転の推進やスマートシティにも役立てられることを想定している。

(画像はSpectee提供)
(ロジビズ・オンライン編集部)

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