双日、半導体や次世代電池の材料となるフッ素化合物の国内安定供給体制構築へ

双日、半導体や次世代電池の材料となるフッ素化合物の国内安定供給体制構築へ

サプライチェーン強靭化支援目指す

双日は2月9日、多国籍企業のOrbia(オルビア)でフッ素関連事業を行うMexichem Fluor(メキシケムフロー)と日本法人のメキシケムジャパンの2社と連携し、今後需要の拡大が期待されるフッ素化合物の国内安定供給体制の構築を図ると発表した。

併せて、北九州市と立地協定を締結した。


立地協定式に臨んだ(左から)北九州市・北橋健治市長、双日・藤本昌義社長、メキシケムフロー・グレッグ・スミス社長、メキシケムジャパン・駒井亨社長(双日提供)

今後、充実した産業と物流インフラという優位性を持つ北九州市の響灘(ひびきなだ)臨海工業団地でフッ素原料の製造拠点を建設することを目指し、メキシケムフローが保有する鉱山からの安定した原料調達体制を基盤とした日本国内におけるフッ素サプライチェーンの強化を目指す。

今回の取り組みは経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(第3次公募)」に採択されている。

各種フッ素化合物はそれぞれがユニークな特性を持ち、多岐にわたる産業で使用されているが、特に半導体や次世代電池、医療、電気通信などの、これからますます重要性の高まる産業でも必要不可欠。各産業の成長に伴いフッ素化合物の需要拡大が見込まれている一方、日本はフッ素原料の国内需要分の大半を特定のエリアから輸入しているのが現状。調達先の多様化が不可欠となっている。

そこでメキシケムフローが有する、メキシコにある世界最大の蛍石(ほたるいし)鉱山やフッ素原料および各種フッ素化合物プラントの操業実績と、双日が有する事業運営ノウハウや販売ネットワークを掛け合わせ、日本国内初となるメキシコ産蛍石を用いたフッ素化合物製造事業を軌道に乗せたい考え。

今回の取り組みを通じて、日本国内におけるフッ素サプライチェーンの強靭化と川下産業の発展に貢献することを目的に掲げている。

双日は北九州市による本取り組みの支援を通して、原材料輸入や製品輸送など北九州港の取扱貨物量の増大、新規雇用創出をはじめとする地域経済の活性化のみならず、「シリコンアイランド」である九州エリアの成長戦略にも合致した半導体産業の活性化が期待されるとみている。


福岡県北九州市若松区 響灘臨海工業団地の位置

【プラント概要(想定)】

製造物    フッ化水素
敷地面積 約17ha
スケジュール 2025年度完工予定

(藤原秀行)

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