【JapanDrone2023】大型ドローンや1人乗り「空飛ぶクルマ」を公開

【JapanDrone2023】大型ドローンや1人乗り「空飛ぶクルマ」を公開

南極海の鯨類調査に投入のUAVも登場、利用シーン拡大印象付け

ドローンの大型展示会「Japan Drone2023」と、「空飛ぶクルマ」などを取り扱う「第2回 次世代エアモビリティ EXPO 2023 -International Advanced Air Mobility Expo-」が6月26日、千葉市の幕張メッセで開幕した。会場は物流などの領域でより積極的にドローンや空飛ぶクルマを活用し、人手不足などの課題解決にとどまらず、新たなサービス市場を創出し経済成長につなげていこうとする機運に満ちている。


多くの来場者が集まった会場

GMOインターネットグループは空飛ぶクルマとして、米LIFT AIRCRAFT(リフト・エアクラフト)製の1人乗りeVTOL(電動垂直離着陸機)「HEXA(ヘクサ)」を展示し、VR(拡張現実)による飛行体験も提供。HEXAは今年3月、大阪市内の大阪城公園で丸紅が2025年の大阪・関西万博を前に飛行実証したことで知られる。ドローンや空飛ぶクルマの安全な飛行に不可欠な通信の暗号化技術なども発表し、空の革命をセキュリティーの面で支えていく姿勢を前面に打ち出した。


1人乗りの「HEXA」

通信大手3社も、全国に展開している高速通信網などのインフラや先進技術を生かしたドローンのソリューションをアピール。NTTコミュニケーションズは点検作業の省人化・安全確保、農業改革、空の活用による新たな災害対策、物流の実現など様々な場面でドローンを有効に機能させるソリューションをPRした。


NTTコミュニケーションズのブース

KDDIスマートドローンは、エアロネクストなどと連携して全国各地で実施しているドローン物流の実績を紹介。さらに、米スペースXの衛星高速大容量通信サービス「Starlink(スターリンク)」を活用し、山中など通信状態が良くない場所でもドローンを安定的に飛行させられることを強調していた。


スターリンクを活用し遠隔操作も可能と説明

ソフトバンクはアミューズワンセルフ製のエンジンとバッテリーのハイブリッドドローン 「GLOW. H(グロウ.エイチ)」など先進的な機体を披露。さらに、ユーザーが希望する要件に合致した飛行シーンを実現する「飛行代行」などの独自のソリューションを来場者に売り込んでいた。


ソフトバンクブースの「GLOW. H」

昨年と同様、大型のドローンや次世代のエアモビリティの実機とモックアップも展示。テクノシステムと湘南工科大学、サレジオ高等専門学校は共同で、軽量ながら高強度を誇るスペースフレーム機体を公開した。組み立て、分解、運搬、保管が容易で長時間飛行も可能、最大搭載重量は150kgと設計している。


スペースフレーム機体

HIEN Aero Technologiesは開発を進めている大型eVTOL(電動垂直離着陸機)のモデル機体を公開。航続距離は150km以上を見込む。よりスピードが求められる物流や災害被災地への物資輸送に活用できるとみている。


eVTOLのモデル機体

ロボデックスは日本初の水素燃料電池を動力源に用いたドローン「「aigis one」を公表。物流領域で温室効果ガス排出削減の動きが強まっているのに対応できる上、建物の高層階への輸送やインフラ点検などに使えるとの見解を示した。


水素燃料電池ドローン

ユニークなところでは、日本鯨類研究所が南極海や北西太平洋上で鯨類の調査に使うために開発しているUAV(無人航空機)の概要を発表。実際に今年1~2月、南極海で鯨類の航空目視調査に関する実証実験に使われた機体「飛鳥 改五」の実機をお披露目した。環境負荷低減へ水素燃料の活用にも取り組んでいることに言及。ドローンなど次世代の航空機体を活用できるシーンが着実に広がっていることを印象付けた。


「飛鳥 改五」(手前)。奥は水素燃料使用モデル

(藤原秀行)

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