大日本印刷と量子コンピューターソフト開発のエー・スター・クォンタム、配送経路効率化支援などの事業推進へ資本・業務提携

大日本印刷と量子コンピューターソフト開発のエー・スター・クォンタム、配送経路効率化支援などの事業推進へ資本・業務提携

生産計画の最適化も

大日本印刷(DNP)と量子コンピューターのソフトウェア開発を手掛けるエー・スター・クォンタム(AQ)は8月30日、資本・業務提携したと発表した。具体的な出資額など詳細は開示していない。

両社は提携により、最適な解を膨大な組み合わせの中から求める「最適化問題」に特化した計算技術「量子アニーリング」をはじめとした、様々な量子コンピューティング技術や手法を活用し、製造・物流などの生産計画や配送経路の「組み合わせ最適化」を高速で処理するソフトウェアを開発・提供する事業の推進を目指す。


(両社提供)

「組み合わせ最適化」の高速化などで量子技術の活用が進んでおり、多様な企業がDXを推進する中、国内量子コンピューター市場規模(サービス提供事業者売上高ベース)は2025年度の約550億円から30年度には約6倍の2940億円規模まで伸びるとの予想もある。

DNPは2021年に「組み合わせ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発するなど、アニーリング手法を活用した社会課題の解決を促進。一方、AQは18年の創業以来、特に物流や広告関連の「組み合わせ最適化問題」を解くための研究開発を手掛け、量子コンピューターのゲート方式とアニーリング方式の技術確立やソフトウェア開発などを展開している。

これまでにも、既に組み合わせ最適化技術を活用して、DNP工場内の生産工程予定作成の時間削減や効率化を目指す実証実験を行うなど、量子技術の共同研究や開発に取り組んできた。両社が目指す事業の方向性が一致し、強みを補完し合い・掛け合わせて相乗効果を発揮していくため、資本・業務提携に踏み切った。

両社は今後、顧客とする企業・団体等が抱える多様な課題に対して、量子コンピューターやソフトウェアなど量子技術を活用した解決策の提案やコンサルティングを行う体制を構築することも念頭に置いている。DNPはAQとの連携により、量子コンピューターのソフトウェア開発に関連した人材の育成や研究開発体制の強化も図りたい考え。

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事