資本コスト抑制や株価上昇意識した取り組み、上場物流企業は邦船大手やセンコーGHDなど19社が開示

資本コスト抑制や株価上昇意識した取り組み、上場物流企業は邦船大手やセンコーGHDなど19社が開示

東証がPBR改善へ要請、検討中は7社

東京証券取引所は1月15日、企業の株価が資産価値と比べて割高か割安かを判断する指標「PBR(株価純資産倍率)」改善のため、上場企業に求めていた「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の実施状況を公表した。

東証はPBRが判断の目安となる1倍を割り込んでいる“株価割安”な上場企業が欧米に比べて多いことを問題視。2023年3月にプライムとスタンダードの両市場に上場している全企業約3300社を対象に、企業が金融機関や株主から資金を調達する際に必要な利子や配当といった「資本コスト」抑制や株価上昇を意識した経営に取り組むよう要請。今回は23年12月末時点で、直近のコーポレートガバナンス報告書で具体的な取り組みの内容に言及している企業数を集計した。

公開した企業はプライム上場が660社で約4割、スタンダード上場が191社で約1割に上った。このうち、物流企業はプライム上場が鴻池運輸、サカイ引越センター、アルプス物流、山九、センコーグループホールディングス、日本郵船、商船三井、川崎汽船、トランコム、三井倉庫ホールディングス、住友倉庫、中央倉庫、上組の13社だった。

スタンダード上場はヒガシトゥエンティワン、丸運、共栄タンカー、東陽倉庫、東洋埠頭、兵機海運の6社だった。

一方、コーポレートガバナンス報告書で具体的な取り組みを検討中と説明している物流企業はプライム上場がハマキョウレックス、ヤマトホールディングス、C&Fロジホールディングス、三菱倉庫、日本トランスシティの5社、スタンダード市場が遠州トラック、櫻島埠頭の2社に上った。

東証は引き続き、上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の内容公表を求めていく構え。

(藤原秀行)

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