日本郵船とジャパンマリンユナイテッド、船舶建造前に波風ある「実海域性能」を推定・評価する手法確立

日本郵船とジャパンマリンユナイテッド、船舶建造前に波風ある「実海域性能」を推定・評価する手法確立

原油タンカーで船速や主機馬力などデータ1年間集積し検証、他の船種にも拡大目指す

日本郵船とジャパン マリンユナイテッド(JMU)は3月29日、共同で進めてきた波風がある中での船舶の推進性能を建造前に推定する取り組みに関し、日本郵船運航の原油タンカーで1年間の実海域性能の検証が完了、技術的・客観的な実海域性能の評価手法を確立したと発表した。

今後は様々な船種で同様の取り組みを進め、新造船の建造契約時に船舶の実海域性能を推定・評価できる仕組みづくりを目指すとともに、燃費性能の高い船舶の調達を図ることで温室効果ガス排出量削減にも貢献していきたい考え。

従来の造船契約は波風のない平穏な気象海象下での船速と馬力の関係(平水中性能)から保証速力を設定・合意し、建造中に行われる海上試運転で造船所と海運会社が相互に保証速力を確認する手法が一般的。しかし、就航後の実航海は波風の影響を強く受けるため、保証された平水中性能は実海域性能と大きな乖離が出ることがあった。

両社は2020年9月、海運業界では世界で初めて建造契約に実海域性能保証の条項を導入し、波風がある中での船舶の燃費性能を検証する取り組みを続けてきた。

相互検証の結果、事前に合意した実海域性能の保証カーブの推定精度が高いことを確認。特定の航路で実海域性能を技術的・客観的に評価できる精度の高い解析・評価手法を確立できたと判断した。

新造原油タンカー2隻のうち1隻は、平水中性能ではなく実海域性能を向上させるJMUの新技術を採用しており、今回の両社の検証により推定通りの有意な実海域性能差を確認することができたという。


(両社提供)

(藤原秀行)

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