キリンビール、名古屋工場で荷待ち・荷役時間短縮へ10億円の自動化投資

キリンビール、名古屋工場で荷待ち・荷役時間短縮へ10億円の自動化投資

「新自動ラック」「レイヤー自動ピッキング装置」採用、出荷スピード2倍など想定

キリンビールは4月18日、名古屋工場で6月、自動倉庫の増強として「新自動ラック」を導入すると発表した。併せて、「新自動ラック」の稼働開始に合わせ、新たに「レイヤー自動ピッキング装置」も採用する。

商品の保管倉庫に関しても、従来清涼飲料を保管していたスペースを酒類倉庫として整備することにより、酒類保管スペースを拡張する。

「2024年問題」を受け、出荷の迅速化と効率的なトラック運行を実現するのが狙い。一連の取り組みに要する投資額は約10億円を見込む。

「新自動ラック」の導入により、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間を短縮し、ドライバーの待機時間削減を推進する。「レイヤー自動ピッキング装置」を活用して省力化を進め、永続的なピッキング機能の確保と作業負荷軽減を目指す。

加えて、酒類保管スペースを拡張し、繁忙期などに不足していた物流拠点能力を強化。慢性的に使用していた場外倉庫使用を抑制し、工場と場外倉庫を行き来するトラックを減らすことにつながると見込む。

「新自動ラック」と「レイヤーピッキング装置」は6月に完成し、試運用を経て9月に最大出力で稼働を始める予定。拡張された酒類の保管スペースは2025年4月に運用を始める計画。

各取り組みの概要と期待効果
① 新自動ラック
トラックへ積み込む貨物を自動で出庫する「自動ラック」のラック内で荷物の搬送を行うクレーン、入出庫ステーション(自動ラックの出入口)を更新し、入出庫能力を増強する。入出庫口数の増設と、出庫スピードを従来比の約2倍に向上させることにより、14分/台の荷待ち時間を削減する予定。

また、今回の更新により、従来の自動ラックに比べ、倉庫の収容能力は3.3倍に向上し、保管効率も高まる見込み。

② レイヤー自動ピッキング装置
新たに、自動でピッキングを行える装置を導入。従来、棚に置かれた製品保管ラックまで移動し、ラックからフォークリフトで製品を取り出し、出荷パレットに製品を載せて整えるといった一連の作業を人手で対応してきた。本装置の導入で、階層単位で自動ピッキングが可能になる。レイヤー自動ピッキング装置の導入は、キリンビールの工場では初めて。

自動化によって、約半分の人手で済むなど、作業の削減・作業負荷軽減を実現する見込み。ピッキングパレットが減ることによって、トラックへの積み込みの生産性が上がり、5分/台の荷待ち時間削減に寄与すると想定している。

③ 酒類保管スペースの拡張
2023年2月までキリンビバレッジの清涼飲料の保管・出荷機能として使用していた倉庫を、新たに酒類保管ができるように整備する。移行期間を経て、2025年6月から本稼働する予定。拡張により、従来場外倉庫と出荷拠点の工場を行き来していたトラック約2000運行が抑制され、場内に入構するトラックが減り、混雑が緩和されることで、約4分/台の荷待ち時間抑制につながると試算している。

また、酒類倉庫拡張に伴い、積み込み回数が増えることに対応するため、積み込み場所の運用を変更し、ドライバーの工場内での総待機時間の抑制を図る。

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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