公取委、木型無償保管など強いた射出成形機大手の日精樹脂工業に下請法違反で再発防止を勧告

公取委、木型無償保管など強いた射出成形機大手の日精樹脂工業に下請法違反で再発防止を勧告

一部発注分の代金未払いも

公正取引委員会は5月13日、プラスチックを溶かして部品を作る射出成形機大手の日精樹脂工業に対し、射出成形機の部品製造を発注している企業に木型や金型を長期間、無償で保管させていたことなどが下請法に違反していると指摘、再発防止策を講じるよう勧告した。

公取委によれば、同社は取引先企業13社に対し、遅くとも2024年2月以降、部品製造のための木型や金型を長期間使っていないことを認識していたにもかかわらず、260個を無償で保管させ続けていた。

 
 

また、同社が21年9月、取引先企業1社に射出成形機の部品3600台を発注。22年1月~23年7月の間にそのうち2250台を受け取って代金を支払ったが、残りの1350台は不当に発注を取り消し、原材料費など少なくとも約1267万円を支払わず、取引先企業に負担させていた。

公取委は前者の行為が、下請法で禁じている「不当な経済上の利益の提供要請」に、後者の行為が「不当な給付内容の変更・やり直し」にそれぞれ相当すると判断した。

同社は公取委の指摘を受け、24年6~12月の間、取引先企業4社が保管していた木型など50個を廃棄・回収した。

同社は5月13日、保管費用や未払い分の部品代金などを速やかに支払うと説明した上で、「業務を行う上でのリスク管理体制において、法令遵守を徹底するとともに、コンプライアンスの観点から役員及び従業員に対して下請法の教育を再度徹底いたします。また、お取引先様とはこれまで以上にコミュニケーションを図り、再発防止に努めてまいります」と謝罪する依田穂積社長のコメントを開示した。

(藤原秀行)

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