「モジュール」活用を想定、28年度中の実現目指す
NTTファシリティーズと日鉄エンジニアリングの両社は7月1日、データセンターの申請・設計・建設に要する期間を大幅に短縮することが可能な建築手法を共同で開発すると発表した。
建屋と設備を標準化したモジュール「Hyper Ready Module」(ハイパー・レディ・モジュール)を作成。工場で部材を生産し、現場で組み立てるプレファブリシケーション式の建築手法を確立し、データセンター需要の伸びに対応していきたい考え。
両社はハイパースケーラー(超巨大IT企業)向けの数十~数百MW級の大規模データセンターの申請・設計から施工までの期間を従来比で最大約50%削減できると見込む。データセンター事業者や関係機関と連携しながら具体化を進め、2028年度中の実現を目指す。

新手法で建設するデータセンター「Hyper Ready Module」のイメージ
日本国内におけるデータセンターの建設は、設計開始から竣工まで3~4年を要するケースが多く、データセンターの設計・建設期間の長期化が課題となっている。
日本特有の地震リスクに対応した建築基準法に基づく諸手続きや自治体条例への対応に加え、建設業界における担い手不足などが響いている。
さらに、昨今はITサーバーの性能向上が飛躍的に進んでおり、設計から竣工までの期間にサーバー仕様が大きく変わるため、データセンター設計の仕様変更や再検討が多く発生することも要因の1つとなっている。
両社は新手法で諸課題の解決を促進したい考え。新工法により、設計から建設に至るまでの全てのプロセスを標準化することで、ハイパースケーラー向けの大規模データセンターで、申請・設計期間を1年、建設工期を1年、プロジェクト全体の期間を約2年に短縮できると想定している。

「Hyper Ready Module」標準モデルのイメージ
新手法は、建物を構成する5つの主要部材(基礎、擁壁、鉄骨、外壁、屋根)をモジュール化し、あらかじめ工場で生産することで工期短縮を図る。
さらに、主要な空調・電気設備機器を屋外に配置し、建物を低層化(1~2階建程度)かつ軽量化することで、建物部分は高耐震構造としながら、主要設備を制振化し、ITサーバーを置くデータホールの床部分を免震化(床免震)する免制振ハイブリッド構造を採用する。
免震建物相当のBCP性能を維持した上で建物全体を免震構造としない構成にすることで、構造評定や大臣認定などの各種申請期間、免震・基礎工事に要する期間の短縮・省略が可能になるとみている。

免制振ハイブリッド構造による工期短縮
メインフレームとなる主要構造部に加えて、設備耐震用のサブフレーム(配管・配線を支持するフレーム、通称「ぶどう棚」)をあらかじめ構築するとともに、空調用配管や電気配線を工場でユニット化し現場で組み立てる「DfMA手法」を採用。
リフターを使用して上部作業を極力減らすことで、設備工程のプレファブリシケーションを推進し、効率化につなげる。加えて、電源系設備もユニット化(コンテナPTU化)することにより設備工事全体の短工期化を実現する。

設備耐震用サブフレームと空調用配管や電気配線のユニット化(DfMA手法の採用)
地震リスクに対する高い信頼性の確保を目的として、レジリエンス設計を適用する。具体的には、日本データセンター協会(JDCC)が定めるファシリティスタンダードの最高基準「ティア4」相当のPML評価基準(地震リスクの評価基準)を踏まえ、地震発生時における設備への影響を抑制し、データセンター機能を維持するため、次のような対策を採用している。
設備耐震用サブフレーム(ぶどう棚)の制振化による抵抗力の向上(下図①)(参考:特許第6216552号*6)
建物本体と電気・機械設備の設置架台の連結部への制振材導入による設備機器の耐震性向上(下図②)
データホール床免震適用によるITサーバー部分の耐震性確保(下図③)
構造・設備へのモニタリングシステムの導入

免制振ハイブリッド構造イメージ
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用









