東京圏の物流施設空室率、4月は08年以降最低の0・9%に到達

東京圏の物流施設空室率、4月は08年以降最低の0・9%に到達

一五不動産情報サービス調査、旺盛な需要続く

工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは5月29日、2020年4月時点の賃貸物流施設市場の動向に関するリポートを発表した。

東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県)の空室率は0・9%で、前回調査の今年1月時点から1・0ポイント低下した。4四半期連続で前期より低下し、08年7月の調査開始以降、最も低い水準に達した。

今期(20年2~4月)の新規需要は101・1万平方メートルに上り、19年8~10月(107・5万平方メートル)に次ぐ高水準。旺盛な需要が続いていることを示した。

今期に完成したのは日本GLPの「GLP浦安Ⅱ」と「GLP八千代Ⅱ」(いずれも千葉)、野村不動産の「Landport青梅Ⅱ」(東京)と「Landport厚木愛川町」(神奈川)、「Landport習志野」(千葉)、日鉄興和不動産の「LOGIFRONT越谷Ⅱ」(埼玉)、トーセイの「T’s Logi橋本」(神奈川)、三井物産都市開発の「LOGIBASE市川」(千葉)など計15棟が新たに竣工。このうち13棟が満室稼働した。

一五不動産情報サービスは「今期の需給改善はコロナ禍による需要増ではなく、以前から続く堅調な需要がこの情勢下でも当初の見込み通りに顕在化している」との見解を示している。

20年4月の東京圏の坪当たり募集賃料は4400円で、前期(4370円)から0・7%アップした。上昇したのは3四半期連続で、「特に外環道周辺など東京都心近郊の募集賃料が上向いている」(一五不動産情報サービス)という。


東京圏の空室率と需給バランスの動向(一五不動産情報サービスリポートより引用)※クリックで拡大

関西は需給の緩和から逼迫へ急速に移行

関西圏(大阪、兵庫、京都の2府1県)の4月の空室率は2・0%で、前期から0・8ポイント下がった。17年10月から2年以上需給の改善が続いており、一五不動産情報サービスは「この2年間で需給バランスは緩和局面から逼迫局面へと急速に移行している」と指摘。

今期は泉北高速鉄道の「北大阪トラックターミナル1号棟」(大阪)、シーアールイー(CRE)の「ロジスクエア神戸西」(兵庫)など3棟が満室で竣工した。今後の展望については「20年6月末に(延べ床面積が40万平方メートル近い)『ESR尼崎ディストリビューションセンター』の竣工で空室率が一時的に上昇することが見込まれるが、大勢に大きな影響はなく、今後も安定した需給環境が続く」との見通しを示している。

坪当たり募集賃料は3850円で、前期(3720円)から3・5%上がった。17年7月の3310円から上昇基調が継続しており、2年間で15%近くの上昇となっている。

調査は延べ床面積、敷地面積のいずれかが1万平方メートル以上の賃貸物流施設が対象。対象は東京圏が443棟、関西圏が123棟だった。


関西圏の空室率と需給バランスの動向(一五不動産情報サービスリポートより引用)※クリックで拡大

(藤原秀行)

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