【独自取材】プラスオートメーション、企業間の物流ロボットシェアに対応

【独自取材】プラスオートメーション、企業間の物流ロボットシェアに対応

RaaS対象に自動フォークリフト追加も視野

プラスオートメーションは、異なる企業や現場の間で物流現場向けロボットを共有、融通し合う「ロボットシェア」に対応している。同社がロボットを貸し出した上で取り扱う商品の季節波動に応じて融通し合えるようにすることで、より効率的なロボットの活用を後押しするのが狙いだ。

プラスオートメーションは、物流ロボットの利用台数に応じて月額で使用料を課金する「RaaS(Robotics as a Service)」を展開。着実に利用が広がっている。個々の企業の現場自動化・機械化への対応に加え、複数企業間でのロボット普及も後押ししていく構えだ。

また、RaaSでは将来、自動フォークリフトを対象に加えることも視野に入れている。物流ロボットと組み合わせることで物流センターの作業を広範囲にわたり自動化することも可能になるとみている。

1200台超を現場に提供

同社は2019年6月、三井物産と日本GLPが共同で設立。現在は豊田自動織機も出資している。RaaSの対象となる物流ロボットは現在、中国の浙江立镖机器人有限公司(Zhejiang LiBiao Robots)のソーティングロボットシステム「t-sort」、Rapyuta RoboticsのAMR(協働型ピッキング支援ロボット)、ZMPの自動搬送ロボット「CarriRo(キャリロ)」の3種類。既に1200を超える台数をRaaSで提供している。


プラスオートメーションが東京都内で運営しているR&Dセンター「cube(キューブ)」で稼働しているt-sort

プラスオートメーションの飯間卓CEO(最高経営責任者)は短期間で導入までこぎ着けられる体制を構築できているのに加え、「ロボットの保守・メンテナンスまで含めて内製化しているのが当社の強みだ」と強調。ロボットのラインアップをさらに拡充していくことに意欲を示す。

同社が昨年、京葉流通倉庫(埼玉県戸田市)と連携し、庫内仕分け作業にt-sortを導入した実証事業を展開した結果、人時生産性は導入前の2倍以上に高まり、従業員へのトレーニングも短期間で済んだという。プラスオートメーションはRaaSの有効性が確認できたと自信を深めている。

現在は、異なる企業同士が離れた物流センター間でロボットをやり取りするのを同社がサポートするなど、ロボットシェアリングにも踏み込んでいる。プラスオートメーションの山田章吾COO(最高執行責任者)は個々の企業がRaaSでレンタルする場合に比べ、商品取扱量の波動に適した台数をより迅速に確保、調整できるメリットがあると指摘。BTS型物流施設の異なるフロア間でレンタルしたロボットを使い合っているケースもあるという。

山田COOは「商品の繁閑時が異なるお客様同士であればロボットを融通しやすい。万が一ロボットがトラブルで停止してしまった場合にも速やかにフォローできる。シェアすることで繁閑時の台数調整に関するノウハウも蓄積される」と分析する。

現状では4カ所程度でロボットシェアリングを行っており、プラスオートメーションは顧客企業のニーズを踏まえ、適用する場所をより増やしていきたい考えだ。

山田COOは「自動フォークリフトの取り扱いについては日々議論している」と説明。株主に豊田自動織機が名を連ねていることも、議論を後押ししそうだ。RaaS採用の是非など詳細はまだ決まっていないが、21年度は現在のロボットのラインアップを活用しながらRaaSをより物流現場に広めていくことに注力していくため、自動フォークリフトの採用は早くても22年度になるとみられる。

(藤原秀行)

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