各種記録をクラウドで閲覧可能、現場視察削減や災害時のデータ消失リスク回避見込む
工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化を実現するソフトウエア「カミナシ」を手掛けるスタートアップ企業のカミナシ(東京都千代田区神田鍛冶町)は4月28日、手づくりパンのボローニャFC本社(東京都台東区柳橋)がソフトを導入したと発表した。
衛生管理の国際基準「HACCP(危険度分析による衛生管理)」が2022年6月に完全義務化されるのに対応するのが狙い。HACCP対応のためにカミナシを利用するのはボローニャFC本社が初めてという。カミナシは今後もHACCP対応へのソフト活用をアピールしていく構え。
ボローニャFC本社は京都・祇園発祥の「ボローニャ デニッシュ食パン」など、高品質かつ独自製法による手づくりパンを展開。全国9カ所のフランチャイズ拠点と提携、全国の百貨店やスーパー、ホテルなどにデニッシュ食パンを提供している。
カミナシはフランチャイズのボローニャマックスが運営する九州工場で採用。HACCP対応に必要な各種記録の管理をクラウド上で行えるようになり、多拠点展開における衛生・品質管理の見える化を実現した。
顧客からの問い合わせや取引先の工場視察時にも、即座に記録をクラウド上で検索、俊敏に対応できるようになった。また、九州エリアは台風による水害が多く発生するため、クラウドによるデータ管理で災害発生時もデータ消失のリスクを回避できる強みもあるという。
全国9カ所の工場を、これまでは1カ所当たり年間10回程度視察、衛生管理記録の確認や品質のチェックを行う必要があった。カミナシ導入でクラウドから衛生管理記録を閲覧する方式に移行、現地視察回数は半減できる見通しで、出超費や人件費も抑えられる見込み。今後は九州以外の工場にも展開していく方向という。
カミナシ使用のイメージ(同社提供)
(藤原秀行)