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首都圏の物流施設新規供給、19年は62万坪と過去最高更新へ

首都圏の物流施設新規供給、19年は62万坪と過去最高更新へ

需要は引き続き旺盛と予測・CBREの不動産市場展望(前編)

 シービーアールイー(CBRE)は1月10日、2019~20年の不動産市場動向に関する予測を発表した。

 今年の後半ごろから世界的に景気が減速局面に差し掛かるとの見方を示す一方、賃貸物流施設はeコマースの成長や人手不足に伴う業務効率化を受け、先進的な機能を持つ大型物件への旺盛な需要が続くと展望。経済成長が鈍化したとしても「三大都市圏のいずれも高水準の供給が続くものの、需給バランスが大きく崩れることはない」との前向きな見方を示した。

世界経済は今年後半に「転換点」か

 CBREリサーチヘッドの大久保寛エグゼクティブディレクターは東京都内の本社で開いたメディア向け説明会で、経済情勢について「今年は世界経済そのものがそろそろ転換点に差し掛かってくる」と予想。

 日本についても消費税率引き上げに加え、米国の景気が中国との経済摩擦や利上げなどの影響で19年後半ごろから減速していくと見込まれることを理由として「19年の成長率はほぼ前年と同じくらいのペースの成長が続くが、20年は限りなくゼロに近くなると想定している」と語った。

 その一方で、物流施設は
①eコマース市場拡大の余地が依然見込まれている
②企業が人手不足対応で商品を配送しやすい立地に変えたり自動化設備導入へ大型物件を望んだりしている
――といった“構造変化”が需要の牽引役になっていると指摘。「ちょっとやそっとの景気減速で需要が大きく崩れるのは考えにくい」と強調した。

 CBREリサーチの高橋和寿子シニアディレクターもこうした構造変化が「今後5年、10年にわたって続いていく」と語った。


市場展望を解説する大久保氏

圏央道と他エリアの市況は依然差が目立つ

 三大都市圏の物流施設市場の展望のうち、前編ではまず首都圏を詳しく見ていく。

 新規供給は18年の46万坪から19年は62万坪とさらに増え、2年連続で過去最大を更新すると見積もっている。20年は現時点で33万坪を見込み、大量供給傾向はいったん一服するが、高橋氏は「足元で見ると21年の供給は再び、18年と同じレベルくらいになるのではないか」と予想している。

 18~19年の2年間で、17年末時点のストックの4割強に当たる規模のまとまった供給があるものの、活発なニーズに支えられ、大規模なマルチテナント型施設(延べ床面積1万坪以上)の空室率は19年第4四半期(10~12月)時点で6・3%程度、20年第4四半期時点で5・8%程度と、18年第3四半期(7~9月)の6・1%から横ばい圏内で推移するとのシナリオを想定している。

 活発な引き合いを反映し、坪当たりの平均実質賃料に関しては18年第4四半期時点で前年同期比1・5%アップの4130円との見方を示している。20年第4四半期までには2・2%上昇すると予測している。

 また、大量供給でテナント企業の選択肢が広がっていることを受け、ランプウェーが付いている物件に比べると、上下階の間で搬送が必要になり賃貸面積の柔軟性も低くなるボックスタイプの施設は選ばれにくくなっていると説明した。

人気の外環道エリアは空室率2%以下

 首都圏を主要4エリアごとに見ると、「東京ベイエリア」は需要が強く、空室率は大型物件が完成する影響などで20年にかけて5%あたりまで上昇するものの、実質賃料(保証金や敷金の運用益を含む)は18年第4四半期時点で2・4%アップの6740円、18年末から20年末にかけては1・3%上がると推測している。

 「外環道エリア」は立地の良さが注目されて人気が高いため、今後も空室率は2%以下で推移し、タイトな需給バランスが続くと分析。実質賃料も18年第4四半期時点で3・2%上昇の4810円、20年末も4・6%上昇と、4エリアの中でそれぞれ最も高い上昇率になると推察している。

 「国道16号エリア」は新規供給が18年に23万坪、19年に36万坪と2年続けて過去最高になると予想。需要も旺盛で、19年第4四半期の空室率は3%を下回ると想定している。実質賃料は18年末時点で1・2%アップの4090円、20年末は1・5%アップをそれぞれ予想している。


首都圏主要4エリアの空室率推移予測(CBRE提供)※クリックで拡大

圏央道は実質賃料が唯一下落へ

 半面、「圏央道エリア」は16~18年でストックが約2・7倍に拡大したことから、空室率は18年第4四半期時点で19・2%と他の3エリアを大きく上回ると見込む。19年以降は大量供給が落ち着くが、隣接する国道16号エリアで新規物件の完成が相次ぐ影響で空室率は高止まりし、20年第4四半期時点で20・8%に達する見通しだ。

 実質賃料は18年第4四半期時点こそ1・5%アップの3280円だが、20年末時点は1・8%のマイナスと4エリアで唯一の下落を見込んでいる。

 大久保氏は「圏央道の物流施設が抱える一番のネックは(庫内作業スタッフの)採用の難しいエリアが多いということ。逆に言えば、利便性が高くて雇用面でもそんなにマイナスではないという物件では引き合いは決して悪くない」と説明。

 高橋氏は圏央道エリアでは埼玉県久喜市や千葉県印西市などが比較的テナントの引き合いが強いと語った上で、「全般的に賃料が安いのが圏央道のメリットの1つ。毎日何度も配送しなければならない種類の荷物でなければ、逆に賃料が安いところで大きな面積を借りられる。そういう需要は常に散見され、決して全般的に悪いという印象は持っていない」と述べた。

後編はコチラから

(藤原秀行)

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