JLL調査、需要旺盛で今後も傾向維持と展望
JLL(ジョーンズ ラング ラサール)が3月30日発表した2021年第4四半期(10~12月)の東京圏における物流施設市場動向の調査結果によると、賃貸施設の期末平均空室率は1.8%で、前期(21年第3四半期、7~9月)から0.8ポイント下がった。前年同期比では1.6ポイント上がった。
空室率は前期、8四半期ぶりに2%まで上昇したが、再び低下した。エリア別では、東京ベイエリアが前期から0.1ポイント低下し0.6%、内陸エリアも1.2ポイント下がって2.3%だった。
10~12月期の新規供給量は6棟、66万1000平方メートルで、ストックは前期比5%拡大した。通期では223万2000平方メートルとなり、ストックで前年同期比17%増と大きく伸びた。通年ベースで19年の181万5000平方メートルを上回り、過去最大を記録した。
需要は10~12月期のネットアブゾープション(吸収需要)が77万1000平方メートル。通年では198万4000平方メートルを超え、19年(210万4000平方メートル)とほぼ同水準に達した。
(JLL資料より引用)
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4419円で、前期から0.4%、前年同期から1.6%それぞれ上昇した。前期比で小幅ながら5四半期続けて上がった。
JLLは今後の賃貸物流施設市場に関し「記録的な新規供給にもかかわらず空室率は現在の⾮常に低い⽔準のまま推移すると予測され、賃料の上昇モメンタム(勢い)を維持する⾒通し」と展望した。
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
ロジスティクス(物流施設)への投資総額は10~12月期が前年同期比13.1%減の1952億円だった。JLLは投資市場について「投資家の関心の高さを背景に、投資利回りは一層の低下余地がある見通し」との見解を据え置いた。
(藤原秀行)