日立物流、「30年にグローバル3PLリーディングカンパニー」へまずアジアで基礎固め

日立物流、「30年にグローバル3PLリーディングカンパニー」へまずアジアで基礎固め

新中計公表、M&A含む戦略投資に最大1000億円想定

日立物流は4月28日、2022~24年度を対象とする新たな中期経営計画「LOGISTEED(ロジスティード)2024」を公表した。

2030年に目指す姿として掲げる「グローバル3PLリーディングカンパニー」を達成するための基礎固めを進め、まずは「アジア圏3PLリーディングカンパニー」へ成長していくとのシナリオを設定。具体策として、M&Aなどを通じた海外事業強化や業務のDX化促進などを打ち出している。

期間中の投資額は、旧中計(19~21年度)実績の904億円(配当金除く)から1.9倍の1750億円を想定。このうち、M&Aを含む「戦略投資」は800億~1000億円を見込んでおり、旧中計実績(336億円)の2~3倍とする方針を設定している。

同社の髙木宏明社長COO(最高執行責任者)は同日、オンラインで開催した記者会見で「まずアジアで3PL事業の基礎をきちんと築き、地位を確保した上でさらに成長して全世界での地位を勝ち取っていく」と強調した。


投資の計画(日立物流発表資料より引用)

新中計は、グローバル3PLリーディングカンパニーの姿として、連結の売上収益(売上高に相当)が1.5兆円、CO2排出量を基準年の13年度比で50%削減、売り上げに占める海外比率を50%以上と設定。その途上として、アジア圏3PLリーディングカンパニーとなるため、北米や欧米、アジアなど全地域でM&Aを展開するとともに、インドやタイ、中国など重点エリアで拠点整備や自動化機器導入といった領域へ積極的に投資することを明示した。

また、より高機能で顧客に高い付加価値を提供できる「スマートロジスティクス」を進めるため、需要が伸びている三温度帯倉庫や危険物倉庫を拡充したり、輸送業務のデジタル化が可能なシステム「SSCV」を活用して輸送事業の強靭化と脱炭素を促進したりすることも盛り込んだ。

北米地域では工場向けに構内作業から倉庫間輸送まで手掛ける一気通貫ロジスティクスを提供。欧米地域はヘルスケアや温度管理輸送、アパレルといった成長領域で事業拡大を目指すとともに、トラックと鉄道貨物などを組み合わせて長距離輸送の効率化を図るインターモーダル事業を広域で進める。

中国はAGV(自動搬送ロボット)などを取り入れた自動化・省人化と業務生産性向上を加速させるほか、西南エリアで事業拡大を図ることなどを盛り込んでいる。アジアではコールドチェーンの展開などを推進する方向。

さらに、製造業向けに調達や製造効率化なども含めたサプライチェーン全体の課題解決貢献を目指す「サプライチェーンサービス」に注力。物流施設内の業務を包括的に自動化していくことも強調している。

(藤原秀行)

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