山九がLiberaware製の小型ドローンで崩落やガス発生など危険箇所点検

山九がLiberaware製の小型ドローンで崩落やガス発生など危険箇所点検

目視は困難な部分もカバー可能に、依頼増加

屋内空間専用の産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」を開発するLiberaware(リベラウェア)は1月11日、山九が2020年にIBISを業務に導入したと発表した。

山九は顧客向けに、IBISを活用した崩落やガス発生など危険・不良箇所の点検を開始。費用を削減しながら安全性の高い点検と故障した設備の早期復旧を実現。ドローンによる点検の依頼が増えたという。


(左から)Liberaware・池田愛美氏、山九の関西エリア統括部企画グループマネージャー・本間真也氏と関西支店・和歌山事業所 の仁儀健太郎氏、関西支店・和歌山事業所の山本拓斗氏

山九は新規プラントの建設や改造のための、設計から工事にいたるまで、顧客のニーズに応じた多様なサービスの一環として、設備の不良箇所を点検する目視点検にIBISを採用した。

従来、プラント設備で不良箇所を確認する点検作業は人による目視点検が中心だが、足場を設置したり、高所作業車を使ったりする必要があり、時間やコストがかかるのが難点だった。

さらに、こうした設備の不良箇所は、高所や人が入りづらい狭くて暗い場所にあることが多く、作業は困難で危険が伴うのが課題。また、有害なガスで満たされている空間を人が点検する場合もあり、その際はガスを取り除いた後に作業者がマンホールから進入して点検を行うが、ガスの排出が不十分だと作業者が酸欠になるリスクがあった。

そこで人が入って作業することが困難な場所に対して、人の代わりに進入して点検を行う手段としてIBISに着目した。山九は一般的なドローンでは困難な屋内・狭小空間でも飛行できることや、実際に操縦する作業者から他のドローンと比較して機体がとても軽く、点検対象に接触しても壊れにくいこと、パイロット育成のため、講習会やスペシャリスト試験といったサポートがあることを評価したという。

IBISでこれまでに鉄鋼メーカー、石油化学メーカーの生産設備などの点検を実施た。ガス洗浄設備や排ガスダクトといった設備を撮影し、写真から「オルソモザイク」を生成、点検作業の精度向上につなげている。旧来は目視で点検できていなかった箇所もカバーできるようになった。

IBISの概要
◇サイズ :191×179×54mm (プロペラガード込み)
◇重 量 :185g(バッテリ込み)
◇装備類 :超高感度カメラ、LED照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他


IBIS本体と飛行する様子(いずれもLiberaware提供)

(藤原秀行)

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