セイノーHDとエアロネクスト、群馬・安中で「空荷」しない“チェーンドローン配送”の実証実験

セイノーHDとエアロネクスト、群馬・安中で「空荷」しない“チェーンドローン配送”の実証実験

小学校とゴルフ場、病院の3カ所結ぶ全3ルートを「レベル3」で展開

群馬県安中市とセイノーホールディングス(HD)、エアロネクストは2月10日、同市内の複数地域で2月8日、セイノーHDとエアロネクストが連携してドローンなどの技術を組み合わせ、地域の物流基盤維持を図る新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の実現に向け、ドローン配送の実証実験を行ったと発表した。

3者は昨年10月、ドローンを含む次世代高度技術を生かした新スマート物流の構築を目指す包括連携協定を締結。今回の実証実験はその具体的な取り組みの第1弾となる。国土交通省の「CO2削減に資する無人航空機等を活用した配送実用化推進調査事業」を活用して実施した。

地域の自主組織や地元事業者とタッグを組み、買い物弱者、医療弱者といった地域が抱える社会課題を解決するため、様々な用途にドローンを生かすとともに採算性も確保できるビジネスとして提供できるようにすることを念頭に置いている。

貨客混載やオンライン診療を組み込みながら、小学校、ゴルフ場、病院の3カ所を結ぶ複数ルートを設定。農産物、フード、処方薬などで常時、積み荷を空にしない一連の“チェーンドローン配送”にトライした。全てのルートは無人地帯上空をドローンが目視外飛行する「レベル3]」として展開した。


撮影に応じる(左から)セイノーHD・河合秀治執行役員、安中市・岩井均市長、エアロネクスト・田路圭輔CEO(最高経営責任者)


ドローン配送で届いた新鮮な農産物、新幹線で届いたアンコウで調理されたアンコウのから揚げ弁当とドローン


THE RAYSUMのクラブハウス前からアンコウのから揚げ弁当を載せて離陸する物流専用ドローン「AirTruck」


オンライン診療を受ける患者3人のうちの1人、鈴木美智恵さん(仮のドローンデポ:旧九十九小学校)


オンライン診療後ドローン配送で届いた処方薬と焼き芋を受け取る鈴木美智恵さん (仮ドローンデポ:旧九十九小学校)


ドローンの着陸を見守る近所の保育園児たち(仮ドローンデポ:旧九十九小学校グラウンド)

実験は地域自主組織や地元事業者と連携し、地元住民に小学校、ゴルフ場、病院間をドローン飛行で経由して農産物、フード、処方薬などを各場所で届けた。

新幹線を活用した貨客混載、オンライン診療からの3人分の処方薬と買い物代行の商品の混載、届いた農産物を活用して調理した弁当をドローン配送、迅速に店頭陳列、産直品の集荷・加工・納品・販売の連携など、今までにない複数の試みを実施した。


実証実験に使用された 日本発物流専用ドローン「AirTruck」

旧九十九小学校を物流サービスの拠点「ドローンデポ(仮設)」とし、ドローン離着陸の起点・終点に設定。以下の3つのドローン配送を一連のチェーンで完了した。

①旧九十九小学校(仮設ドローンデポ)→THE RAYSUM(片道9.1km 約20分)
地元農家の野菜をデリバリー。届いた野菜、アンコウ(糸魚川から新幹線で輸送)を使ってレストランでシェフが弁当を調理

②THE RAYSUM→碓氷病院(片道6.6km 約15分)
調理された弁当をデリバリーし、近くのJAファーマーズまで電動自転車で運び、店頭に商品として陳列

③碓氷病院→旧九十九小学校(仮設ドローンデポ)(片道4.7km 約11分) 
あらかじめオンライン診療と門前薬局の3つの薬局でオンライン服薬指導を受けてもらった碓氷病院の患者3人にそれぞれの処方薬と、買い物代行を想定したJAファーマーズからの食料品日用品を混載してデリバリー。処方薬についてはドローンによる医薬品配送のガイドラインを順守

ドローンで配送された処方薬と買物代行の焼き芋を受け取った鈴木美智恵さんは「最近はガソリン代も高くなり、年を取ると運転も難しいのでありがたい。今後実用化したらぜひ薬も買い物もお願いしたい」との感想を語ったという。

本実証後、まず旧松井田町で新スマート物流SkyHubを2022年度中に実装することを目指す。

(藤原秀行)※いずれもエアロネクスト提供

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