下請法関連基準、集配郵便局・支社の1割超で委託料引き上げ要請に不適切対応

下請法関連基準、集配郵便局・支社の1割超で委託料引き上げ要請に不適切対応

日本郵便が自主点検結果公表、法令順守体制強化へ

日本郵便は4月14日、経済産業省と中小企業庁が下請中小企業振興法に基づき、中小企業を対象に実施した調査の結果、同社が取引先の中小企業との間でコスト上昇分を取引価格に転嫁する度合いが低評価になったことを踏まえ、全国の郵便局や支社の実態に関する自主点検結果を公表した。

自主点検は全国の集配郵便局1074局のうち点検対象の下請取引を有する1001局と全国13支社で今年2月にアンケートを実施。集配関係委託契約で下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づき親事業者が実施すべき事項(価格交渉、価格転嫁など)の実施状況を確認した。点検対象は2021年6月から22年5月までの1年間の下請取引。

その結果、下請法に基づく運用基準(昨年1月改正)や下請中小企業振興法の振興基準(同7月改正)で親事業者に求めている対応について、一部に改正後の内容を踏まえた取り扱いが行われていない実態を確認した。他にも、一部で下請取引に関する正しい理解が不足している事例があったという。

具体的には、取引先からのコスト上昇を理由とした委託料の引き上げ要請に対し、「取引先と協議することなく委託料を据え置く」または「委託料を据え置いた際、その理由を文書やメールで回答していない」事例が全体の約13.9%に当たる139局、2支社であった。

また、下請代金の支払い基準(役務提供日から起算して60 日以内)について、「請求書提出日を基準に支払う」旨の誤った認識が見られる事例を、約6.6%の67局で確認した。

他にも、協力会社に対し、日本郵便の営業用物品を無償で配達させた悪質な事例も1局で見られた。

日本郵便は原因について「下請法に基づく運用基準および下請中小企業振興法の振興基準の改正内容などに関し、日本郵便本社の認識および指示が遅れたため、郵便局および支社への理解浸透が徹底されなかった」と指摘した。

集配協力会社の2割と委託料など見直しで合意

さらに、2月2 0日~3月31日を協力会社とのコミュニケーション促進月間と設定し、現在締結している全ての集配関係委託契約(約5500件)の協力会社との間で、委託料などの契約見直しの協議を進めており、4月10日時点で全体の2割弱に関して見直しに合意したことを明らかにした。残る8割強は現在も協議中という。

当初コミュニケーション促進月間は今年3月末までを想定していたが、4月末まで1カ月間延長し、協議を完了させる予定。日本郵便は今後も毎年、コミュニケーション促進月間を設定し、協力会社との間で適切に契約内容の協議を実施すると強調している。

併せて、2月17日~4月5日の間、全国13支社に協力会社からの相談窓口を設置したところ、計133件の相談が寄せられたと報告。その大半が委託料の見直しに関するものだったという。日本郵便は「コミュニケーション促進月間の取り組みなどを通じて、支社および郵便局が連携して対応している」と説明した。

今後は法令順守のため、協力会社との取引に関する郵便局、支社、本社それぞれの役割の明確化、協力会社との契約内容、協議などの手続き整備(データ管理)、契約手続の電子化試行、郵便局と支社および本社担当者への定期的な研修を順次展開していく方針。

(藤原秀行)

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