「2024年問題」でトラックドライバーの7割が収入減懸念、2割は転職や副業検討

「2024年問題」でトラックドライバーの7割が収入減懸念、2割は転職や副業検討

KiteRa調査、「働き方改革が逆に生活や労働環境ひっ迫させる可能性」と警鐘

社内規程管理クラウドの企業向けサービス「KiteRa Biz(キテラビズ)」と、社会保険労務士(社労士)向けサービス「KiteRa Pro(キテラプロ)」を展開するKiteRa(東京都港区北青山)は10月26日、20代以上のトラックドライバー男女600人を対象に実施した、政府が長時間労働の上限規制を強化する「2024年問題」に関する実態調査結果を公表した。

トラックドライバーの約3割が2024年問題を「知らない・よくわからない」と回答し、約8割は勤務先の研修や説明などが何も行われていない(不足している)と答えるなど、ドライバー自身の2024年問題への理解や対応が追いついていないことが浮き彫りとなった。

1割弱は毎月80時間以上の時間外労働をしており、このままでは24年4月以降の上限規制に違反する可能性が高いケースがまだ根強く残っていることをうかがわせた。

上限規制の施行によって心配することは収入の減少が最多で約7割に及んだほか、約2割が転職や副業、独立を検討していることも分かった。

約6割が勤務先の就業規則を見たことがないと答え、副業や転職など今後の働き方を検討しながらも、現在の勤務先での副業可否や勤務条件、社内ルールなどを把握しきれていない様子がうかがえた。有給休暇については約4割がこの1年で1日も取得していないと回答した。

KiteRaは「7割が『収入減』を心配する中で、『業務時間の変更』や『無理な運行・走行計画が立てられる』ことを心配する人も約3割存在することが分かった。トラックドライバーへの働き方改革を目的とした上限規制が逆にドライバーの生活や労働環境をひっ迫させてしまう可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

併せて、「従業員が働きやすい環境を構築し生産性向上を図るとともに、経営リスクの低減やガバナンス向上のためにも就業規則を整備し、従業員への周知を徹底することは2024年問題が迫る今、物流業界が対応すべきことの一つだと考えられる」と強調した。

調査概要
調査名:トラックドライバーの働き方に関する実態調査
対象条件:全国の20代以上のトラックドライバー
調査期間:2023年10⽉9日~10月10日
調査方法:インターネットを利⽤したアンケート調査
有効回答数:600名

「無理な運行・走行計画」「労働時間帯やシフトの変更」を危惧する声も根強く

回答者のうち、20〜30代の若手は12.1%にとどまった半面、50代以上の年配者は60.2%に上った。女性比率は8.0%にとどまり、普段叫ばれているドライバーの高齢化や女性比率の低さをあらためて裏付けた。

「勤務先で『2024年問題』に関して何かしら研修や説明がありましたか」の質問に対し、77.0%が「何も行われていない」と回答。一方で、12.2%が「朝礼や終礼などの場で説明があった」、2.0%が「メールやチャットで説明があった」、7.8%が「研修会や社内勉強会が行われた」、9.0%が「資料の配布や掲示があった」となった。運送事業者側の対応が十分に進んでいないことを示唆した。

「2024年4月からトラックドライバーの時間外労働(残業)が年間960時間に上限規制されることによって発生する、物流・運送業界の『2024年問題』を知っていますか」の質問に対し、「知っている」が66.0%で最も多く、次いで「聞いたことはあるがよくわからない」が25.5%、「知らない」が8.5%となった。3割超が2024年問題を理解できていないことになる。

「1ヵ月間で平均どのくらい時間外労働(残業)をしているか」の質問に対しては、「40時間未満」がトップで74.2%。「40時間以上60時間未満」は11.3%、「60時間以上80時間未満」は8.2%、「80時間以上」は6.3%だった。年間に換算すると「80時間以上」は960時間以上となり規制に抵触する。

「時間外労働(残業)が発生する原因は何だと思いますか」と尋ねたのに対しては、首位が「人員が足りないため」で57.8%。「仕事量が多いため」(55.3%)、「残業をすることが当たり前の環境」(34.2%)も目立った。「収入を増やすため自ら望んで残業している」が21.2%で、ドライバーの間で残業を望む向きが根強いことが示された。

「時間外労働の上限規制によって心配していることは何か」の問いには、「収入の減少」が67.3%で断トツのトップ、次いで「無理な運行・走行計画が立てられる」が27.7%、「労働時間帯やシフトの変更」が27.3%で、予想通り、労働条件や業務内容への影響を懸念する声が多かった。

「上限規制により、退職や転職、副業などを予定していますか」の質問に対し、「今の勤務先での勤務を継続する予定」が73.5%でトップ。半面、「ドライバーとして物流他社への転職予定」と「ドライバーを辞めて異業種(異職種)」がともに7.0%、「副業を始める予定」が5.7%、「独立を予定」が0.8%で、約2割が転職や副業、独立を検討していることが分かった。「その他」の中には、「今はまだわからない」「その時になったら検討する」といった回答が多く集まった。

「勤務先の就業規則を見たことがありますか」との質問に、「見たことがない」を選んだのが56.0%で過半数となり、「見たことがある」は44.0%だった。副業可否や、上限規制に関する社内規程や社内ルールなどを把握できていない様子が見て取れる。

就業規則を「見たことがない」と回答した人を対象に、その理由を聞いたところ、最多は「就業規則をどこで見られるかわからないから」が36.0%。「就業規則を確認する必要がなかったから」が31.3%、「就業規則があるのかわからないから」が25.3%、「勤務先には就業規則が存在しない」が21.7%となった。

「この1年で1日以上、有給休暇を取得しましたか」の質問に対し回答は、「取得した」が62.9%で、「取得していない」の37.0%を大きく引き離した。

(藤原秀行)※いずれもKiteRa提供

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