愛媛の大王海運、北越コーポレーションに社外取締役5人増員を株主総会で提案へ

愛媛の大王海運、北越コーポレーションに社外取締役5人増員を株主総会で提案へ

「取締役会が本来の職責果たさず」と批判

愛媛を拠点とする大王海運(愛媛県四国中央市)は4月25日、大株主となっている製紙中堅の北越コーポレーションに株主提案書を送付したと発表した。

北越も4月24日、大王海運から株主提案書を受け取ったことを確認していたが、内容は公表していなかった。

株主提案書は北越の経営状況に強い不満を表明し、社外取締役を5人増員するよう求めている。社外取締役候補は日立化成工業元社長の田中一行氏、旧産業再生機構などを歴任した松岡真宏氏らを挙げている。

大王海運は昨年6月に北越が開催した定時株主総会で、企業統治への懸念などを理由にして岸本哲夫社長の再任に反対。北越は昨年12月、大王海運グループが株式を急速かつ大量に買い増していると主張し、買収防衛策の導入を決めるなど、対立が続いている。

大王海運は製紙の原材料や紙製品の輸送・保管・配送などが事業の中核を占める。大王製紙創業者が設立に携わっており、グループの美須賀海運と北越株式の18.56%(昨年12月時点)を共同保有し、大王海運として大王製紙株式も所有するなど、製紙業界との結び付きが深い。

大王海運は今年の株主提案書で、北越が大王製紙の発行済株式の24.8%を保有しながらシナジーを発揮できず、対立関係にあったと指摘した上で、大王製紙の大株主でありながら配当金を得るのみで「資本効率性の悪化や連結業績の不確実性を招いている。この経営課題に何ら検討を深めてこなかった」と批判。

大王海運から北越の社外取締役との対話を申し入れたが拒絶されたなどと明かし、「取締役会が本来の職責を果たさず、むしろ経営陣の自己保身を擁護していると判断」したと強調。社外取締役の増員を求めている。

北越に対しては、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも取締役選任などに関して提案している。

(藤原秀行)

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