5月末~6月初めにトライ、成功すればアジアの民間企業初の快挙
月面物資輸送サービスの商用化を目指しているispaceは1月9日、自社で独自に開発した月着陸船「RESILIENCEランダー」を米国で1月15日午後3時11分(日本時間、現地時間は午前1時11分)に打ち上げると発表した。
民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2と位置付けており、月着陸船はフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられる。実際に月面着陸にトライするのは今年5月末から6月初めにかけての時期になる見通し。
ispaceは2022年に打ち上げた「ミッション1」で民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦したものの、23年4月の着陸直前に高度を誤認、燃料切れとなり落下した。今回成功すれば、アジアの民間企業としては初の快挙となる。
月着陸船にはispaceの欧州法人ispace EUROPEが開発したマイクロローバー(小型月面探査車)「TENACIOUS」(テネシアス)を積載。自走して月面探査に挑むことを計画している。
また、RESILIENCEランダーにはマイクロローバーのほか、以下の5種類のペイロード(荷物)を載せて運ぶ予定。人類の言語と文化遺産を保護したユネスコ(国際連合教育科学文化機関)のメモリーディスクも搭載する。
·HAKUTO-Rのコーポレートパートナー、高砂熱学工業の月面用水電解装置
·ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
·台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
·バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
·スウェーデンのアーティストによるムーンハウスと呼ばれる赤い小さな家
月面探査車はレゴリス(月の砂)を採取し、所有権を米航空宇宙局(NASA)に売却する予定。ispaceは月の資源の国際商取引は今回が初めてと説明している。
ispaceは同日、東京の本社で開催した記者会見で、コーポレートパートナーのシチズン時計のグループ会社、シチズンTICのカウントダウンビジョンCDV-100を活用した、ミッション2のカウントダウン・クロックを初めてお披露目した。
カウントダウン・クロックの前で撮影に応じるispace・袴田武史CEO(最高経営責任者)&Founder(創設者、左)とシチズン時計・田中繁事業企画センター宣伝部長
(藤原秀行)