2.1万㎡、3月下旬に本格稼働開始予定
山九は2月26日、横浜市の本牧ふ頭A突堤に新設した物流拠点「横浜ロジスティクスセンター」の竣工式を開催した。
地上4階建て、延床面積は2万921㎡で、このうち倉庫面積は1万7025㎡。本牧ふ頭に位置する横浜港内で最大規模の物流施設という。岸壁に位置していることなどを生かし、輸出入貨物のストックポイントとして需要の取り込みを図る。3月下旬ごろに本格稼働を始める予定。
取り扱う貨物は自動車部品、半導体関連装置、日用雑貨などを想定。当初はターゲットを絞らず、2025年度の上期は取扱量を拡大させることに重心を置き、下期からフル稼働させることを目指す。月間2万~3万tの貨物取扱量を見込む。
新センターの外観
1階の倉庫スペースは港側に高床バース、反対側に低床バースをそれぞれ設置。港側は岸壁に隣接しており、船が接岸してすぐに大型貨物などの入出庫作業ができる設計を採用している。ドックレベラーは10基を取り付けている。
バースの側には海上コンテナを一時的に取り置くシャーシプールを用意し、在来線の貨物の荷揚げ・荷積みが外から直接できるよう工夫している。在来線の貨物を直接荷役できる機能は横浜港A突堤では山九の物流拠点のみが保有しているという。
路面に面した低床バースは大型トラックが一度に4台接車できる。13mの大きなひさしを取り付け、悪天候でも円滑に荷役できるよう配慮している。
1階の倉庫部分
横浜港が見える
路面側のトラックバース
4階倉庫部分
1階倉庫の天井高は5.5m。1平方当たりの耐荷重は1階が約2t、2~4階は1.5tと標準的なスペックを持たせており、積載量5tの大型貨物用エレベーター1基と、垂直搬送機合計4基を設置している。
環境面の取り組みは、全館LED照明や人感センサー、高効率空調機、日射遮蔽型の窓ガラスなどを設置。屋上には太陽光発電パネルを導入し、省エネと太陽光発電を組み合わせた「創エネ」を実現させることを計画。1次エネルギー消費を実質ゼロとする。建築物の環境認証「ZEB認証」と「BELS」6つ星を取得した。
新センターには日本大通り付近にあった横浜支店も移転させ、管理・営業部門の機能を集約。通関スタッフが常駐し、輸出入手続、荷役作業、保管・倉庫作業まで一貫したサービスを提供できるようにしている。
屋上から横浜港が望める
屋上の太陽光発電パネル
荷物用のエレベーター
竣工式であいさつした山九の中村公大代表取締役社長は、新センター設立は3つの目的があると説明。「1つ目は営業・管理・倉庫が一体となったセンターの実現。今まで遠隔地であった管理部門をセンター内の事務所スペースに移動することで、営業担当者、管理者、現場が一体となってサービスの向上に努められるようになる。2つ目は太陽光パネルなど環境対策を徹底した施設とすることで、社会貢献、ひいては横浜港全体の貢献につなげたいということ。3つ目は従業員のエンゲージメント向上。笑顔で働ける場所としたい」と語った。
来賓として登壇した横浜市港湾局の新保康裕局長は「横浜港は2年連続で300万TEU(20フィート標準コンテナ換算)を超えるなど、需要が高まっている。近年のコンテナ船の大型に合わせ、本牧ふ頭を拡張し、新本牧ふ頭も整備を進めている。市の取り組みと横浜ロジスティクスセンターの相乗効果を期待している」と述べた。
山九横浜支店の田村圭支店長は「当社はこれまで、横浜支店山下倉庫をはじめ、横浜港にいくつかの倉庫を構えていたが、どれも面積が小さいため、大型案件の引き合いに対応できていなかった。横浜ロジスティクスセンターの開設を機に受注力を高めていきたい」と意気込みを見せた。
テープカットに臨む(左から)日鉄エンジニアリング・石倭行人社長、山九・中村社長、横浜市港湾局・新保局長
あいさつする中村社長と新保局長
■施設概要
名称:横浜ロジスティクスセンター
開設時期:2025年3月下旬予定
住所:神奈川県横浜市中区本牧ふ頭9-88
敷地面積:1万5027.75㎡
延床面積:2万921㎡(倉庫1万7025㎡)
構造:S造/4階建て
設備:垂直搬送機4基、業務用エレベーター1基、1階高床/低床(ドックレベラー10基)
設計・施工:日鉄エンジニアリング株式会社
(安藤照乃、藤原秀行)