ニチレイロジグループで総力挙げる業務革新の全容(中編)

ニチレイロジグループで総力挙げる業務革新の全容(中編)

無人化・省力化とトラック待機時間削減に挑戦

ニチレイロジグループで総力挙げる業務革新の全容(前編)

 ニチレイロジグループ本社は11月15日、東京都内で開いた「第7回ロジスティクス・ソリューションセミナー」で、人手不足など厳しい経営環境の中、低温物流を維持・発展させるためにグループの総力を投じて展開している独自の業務革新を詳しく紹介した。

 第2回は、物流業界で機運が高まっている無人化・省力化と、物流センターでのトラック待機問題について、同社が状況改善へ踏み出した歩みを取り上げる。


セミナーで説明する北川部長

冷凍スペースにも無人フォークリフト投入へ

 セミナーに登壇した同社の北川倫太郎業務革新推進部長は、改革の対象としている6つのカテゴリーを列挙。このうち、無人化・省人化については、具体的な施策として、無人フォークリフトの実証実験の様子を紹介した。

 実験はグループのキョクレイが横浜市内に構えている「大黒DC」で実施。豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーと協力しながら、各種センサーを取り付けた自動フォークリフトを荷さばき場からのチルドスペースの商品入庫・格納、庫内の配置換えに用いている。

 ゆっくりしたスピードではあるが、荷さばき場から庫内のあらかじめ指定された場所へ障害物を避けながら移動、荷物を積んだパレットをラックなどにぶつけず、無事所定のスペースに置く姿が動画で紹介された。

 北川部長は「実験を重ねた結果、商品の破損がなくなりサービス品質向上に役立てられることが分かった。まだエラーが出て止まってしまうといった課題もあるが、対処しながら実験を進めている」と説明。今後は複数台を連動させて使うほか、冷凍エリアでも活動できる仕様の無人フォークリフトを投入することを検討している。

 搬送に関しては、自動運転技術の開発などに取り組むベンチャーのZMPと組み、台車型ロボット「CarriRo(キャリロ)」の活用にも着手。ニチレイ・ロジスティクス関東の横浜南DCや、ロジスティス・ネットワークの宮城野物流センター(仙台市)でキャリロが荷物を積み、人間の後を追従して移動するなどしている。

 北川部長は他の機種も含め、各拠点の実情に合ったものを選定しながら「ただ運ぶだけという仕事はなるべく無人化、省人化していこうということで実験を繰り返していく」と意欲を示している。


ZMPの台車型ロボット「CarriRo」


プロロジスパーク東京大田」で披露されたZMP製の台車型ロボット「CarriRo(キャリロ)」の自律移動デモ。床に敷かれた「ランドマーク」を自動で認識し、前進や方向転換する

「1台当たり30分以内」へクラウドのトラック予約システム活用

 待機問題に関しては、1台当たり30分以内に抑えることを目指し、トラック予約システムの活用を明確に打ち出した。ユニシスとタッグを組み、クラウド上で動くパッケージシステム「Smart Transport(スマートトランスポート)」を2017年10月からロジスティクス・ネットワークの杉戸DC(埼玉)、大阪埠頭DC(大阪)を手始めに導入、現時点でパイロット運用を含め国内8DCで利用している。

 システムは倉庫側で予約可能な時間枠と台数を設定すると、運送会社・ドライバー側がシステム経由でパソコンやスマートフォンで希望時間を予約するとともに、積み荷が決まった段階で明細をスマホで撮影、送信する。倉庫は事前に入庫依頼などと明細を約時間前に照合しておける。ドライバーはセンターに到着後、無人の専用端末で自動受付し、空いたバースへ順番にトラックを付けられる仕組みだ。

 北川部長は「われわれが展開しているWMSの中で予約システムをつくれば作業との連動などができて効率的になったが、運送会社さんからすると、ニチレイロジに行くときはこの予約システムが使えるが、他の冷蔵庫に行く時はまた別のシステムを使用しなければいけなくなる。乱立していくと、運送会社さんからすればシステム自体を使いづらくなるとの懸念があった」とクラウドシステムを選択した経緯を語った。

 最終の第3回は、事務効率化のためのRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)などの施策を報告する。

(藤原秀行)

ニチレイロジグループで総力挙げる業務革新の全容(後編)

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