スエズ運河で座礁のコンテナ船、賠償交渉合意で3カ月ぶりに現地出発

スエズ運河で座礁のコンテナ船、賠償交渉合意で3カ月ぶりに現地出発

船主の正栄汽船「関係者に深く感謝」

エジプトのスエズ運河で今年3月、正栄汽船(愛媛県今治市)が船主を務める大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁、水路を長時間ふさぎ他の船舶の通行を妨げた事故に関し、同社とスエズ運河庁が7月7日、賠償に関して正式に合意した。同日、エジプト北東部のイスマイリアで式典を開催し、合意文書に調印した。

現地に留め置かれていたエバーギブンは同日、約3カ月ぶりに現地を出発、運航を再開した。当初の目的地だったオランダ・ロッテルダムに向かったもよう。

正栄汽船は同日発表したコメントの中で、エバーギブンの船長や航海士、乗組員に謝意を伝えるとともに「本船を可能な限り迅速に解放できるようにするため、精力的に活動してくださったスエズ運河庁をはじめとする関係者の皆様にも深く感謝する」と表明。今後も定期的にスエズ運河を使う方針を示した。

具体的な賠償額については、スエズ運河庁と正栄汽船のいずれも開示していない。海外メディアなどによれば、スエズ運河庁がエバーギブンの離礁作業に要した費用などとして5億5000万ドル(約610億円)を請求したのに対し、正栄汽船が反発、交渉が続いていた。

今回の事故は、スエズ運河を利用する際のリスクをあらためて浮き彫りにした。グローバル規模でサプライチェーンを止めないために、海運業界に加えて荷主企業にも具体的な対策を講じる重要性を突き付けた格好だ。


座礁した際のエバーギブン(スエズ運河ホームページより引用)

(藤原秀行)

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