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【好評連載!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第3回)

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コンプライアンスの重要性:日東物流・菅原拓也代表取締役

千葉県四街道市の物流企業「日東物流」の菅原拓也代表取締役によるロジビズ・オンライン独自連載。第3回は日々経営する中で直面するコンプライアンスの問題について、語っていただきました。

トラックドライバーの長時間拘束が今後、ますます難しくなっていくことが見込まれる中、法令を守ることと事業継続を両立させるのは果たして可能なのか? 厳しい判断を迫られ続けた経験から、同様の皆さんに熱いメッセージを発しています!


菅原代表取締役(日東物流提供)

ウサギ程度のストレス耐性しかない僕は、ウソをやめることにした

いきなりですが、質問です。

物流会社が “コンプライアンス(法令遵守)”を重視したら、経営は成り立たないのでしょうか? 

これまでの物流業界では、“法令遵守なんてしていたら、経営は成り立たない”と、多くの経営者が思っていたように感じます。ではそもそも、何故コンプライアンスを難しいと感じてしまうのか? それには2つの理由があると思います。

①物流事業の利益率の低さ
②法令が求める水準と現実とのギャップの大きさ

まず①についてですが、コンプライアンスを徹底すれば様々な費用が生じ、財務に与えるインパクトは当然大きくなります。社会保険に加入させる、削減する労働時間分だけドライバーを新規雇用する、運行管理者を追加雇用する、有給休暇を使わせる、ワンマンでしていたものをツーマン運行にする…

利益率の低い物流事業にあって、「コンプライアンス=事業存続の危機」と感じてしまうのは、仕方のないことなのかもしれません。

では、②についてはどうでしょうか。過剰な拘束時間って、昔ほどではないにしろ、今もまだまだあるはず。そうした実態を裏付けるアンケート調査結果もあります。それで会社は存続しているし、荷主もそれを分かって依頼している。ドライバーだって、それでお給料をもらっている。なのに、法令通りに変えてしまったら、色んなバランスが崩れてみんなが困ると考えちゃうのも、分かります。

でも、こういう話をする時、「会社のため」「ドライバーのため」「荷主のため」を言い訳に思考停止してしまう人、多いんですよね。”社会の公器“である企業にとって、「社会のため」を最優先に考えるべきであり、社会的ルールを守りながら会社やドライバーや荷主のことを考えるという風に、マインドセットを変えるべきなんです。

かなり昔の、もう時効の話で深く反省しており、今はそんなことはしていませんので正直に申し上げますが、かくいう当社も、かつては “法令遵守なんてしていたら、経営は成り立たない”という幻想に取り憑かれていました。

例えば拘束時間。実際は400時間なのに、なぜか点呼簿では280時間とかになっていたり、日報を2枚に分けてみたり、出勤してもなぜか欠勤扱いになっていたり、挙句の果てには消えるボールペンを駆使してみたり… 「改ざん上等」な管理体制は、ホントに幻想であって欲しいくらいのカオス状態でした。

しかし、そうなると色んな部分で整合性が取れなくなるので、ウソをウソで塗り固めることに労力を使い、監査に怯えてビクビクする日々を送ることになります。ウサギ程度のストレス耐性しかない僕にとって、これほど耐え難いことはありません。

なので僕は、この幻想を振り払うため、ウソをやめることにしました。つまり“現実を直視する”ことから始めたのです。点呼簿や出勤簿のウソをやめ、消えるボールペンの使用をやめ、あらゆるウソをやめていきました。

もちろん、監査が入ってきたら大ゴトになるのは分かっていました。でも、ストレスを抱え、日陰を歩いて生きるくらいなら、処分があってもしっかり受け止め、本気で改善しようと考えていました。そして、痛み(処分)があるからこそ改善出来ると主張し、社内を説得していきました。

すると不思議なことに、ウソをやめると会社に変化が生まれていきました。ちゃんと挨拶をするようになる、ちゃんと制服を着るようになる、ちゃんと健康診断に行くようになる。こうした小さな変化がさざ波のように起き始めたのです。本当に小さな変化ですが、波が立ってしまえば改善は加速度的に勢いが増し、その結果、今日の日東物流があります。

今では293時間の遵守は当たり前。ドライバーも残業80時間以内を目指して、自発的に業務効率化のアイデアを出してくれており、管理者を含めて社内みんなで達成しようという雰囲気になっています。

もし皆さんも、コンプライアンスに着手しようとしているなら、まずは自社の状況を見つめ直し、焦らず、急がず、お金の掛からないところからでも、始めてみてはいかがでしょう?

きっと同じ想いを持っている仲間が、すぐそばにいるはずです!

日東物流twitter:@nittobutsuryu

菅原拓也氏(すがわら・たくや)
大学卒業後、大手運送会社などを経て2008年、日東物流に入社。17年9月、創業者の父親の跡を継いで代表取締役に就任。18年に物流会社として千葉県で初めて「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定を取得。4年連続で認定を受けるなど、経営改革を進めている。

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