商船三井とエア・ウォーター、LNG燃料船で低環境負荷の液化バイオメタン試験利用を検討

商船三井とエア・ウォーター、LNG燃料船で低環境負荷の液化バイオメタン試験利用を検討

2023年度前半の実現目指す

商船三井とエア・ウォーターは2月22日、家畜糞尿由来の液化バイオメタン(Liquefied Bio Methane、LBM)をLNG(液化天然ガス)燃料船で試験利用することを共同で検討すると発表した。

エア・ウォーターが環境省に採択され推進するLBMの技術開発・実証事業の一環として、北海道十勝地方で家畜糞尿から製造するLBMを、商船三井グループの内航LNG燃料船で2023年度前半に使用することを目指し、両社で船陸双方の既存設備で問題なく輸送・供給・使用できることを確認する。

LBMは、酪農家が保有するバイオガスプラントから発生した未利用バイオガスを回収した後、その主成分のメタンを分離・精製し、約-160℃で液化する。メタンは液化で容積を600分の1まで圧縮できるため、一度に大量のメタンを輸送できる。家畜糞尿が原料のため、カーボンニュートラルな国産エネルギーと捉えられる。

LBMを舶用燃料として利用するのは国内で初めてという。


LBMを船舶燃料として利用へ


LBM製造の過程、LNG燃料船などでの利用に関するサプライチェーン

商船三井は2050年までのネットゼロ・エミッション(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向け、事業の低・脱炭素化を促進。「クリーン代替燃料の導入」戦略として、アンモニアや水素燃料の導入を検討している。

一方で、早期の低炭素化に向けてはLNG燃料船の導入が有効と考えているため、商船三井はLNG燃料を推進するのと並行して、バイオメタンや合成メタンの早期利用開始を目指した取り組みを進めている。

LNG燃料は、従来の燃料油よりCO2の排出量を約25%削減する効果が見込めるが、カーボンニュートラルなエネルギーのLBMを一部使用することで、一段とCO2を削減する効果が望めるという。

また、LBM・LNGともに主成分はメタンで、輸送や消費に関わる既存のLNGサプライチェーンを活用できることから、商船三井は船舶運航における脱炭素化に向けた有効な手段になり得ると考えている。

エア・ウォーターは、脱炭素ソリューションや持続可能な地域循環型のエネルギー供給モデルの構築を目標としている。2022年10月には、家畜糞尿由来の未利用バイオガスを有効活用したLNG代替燃料のLBM製造工場を国内で初めて稼働させ、食品工場やLNGトラックへの燃料供給を進めている。

両社はLBMの船舶燃料利用に向け、今後も互いの知見を生かしていく構え。

(藤原秀行)※いずれも両社提供

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