コンテナ船依存低減と事業多角化探る、4年間で脱炭素などに1.2兆円投資へ

コンテナ船依存低減と事業多角化探る、4年間で脱炭素などに1.2兆円投資へ

日本郵船が新中計公表、LNG・アンモニア船導入に注力

日本郵船は3月10日、2023~26年度の4年間を対象とする新たな中期経営計画「“Sail Green, Drive Transformations 2026- A Passion for Planetary Wellbeing -」を策定したと発表した。

2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」の達成を目指し、ESGを中核に据え成長戦略を推進。4年間にLNG(液化天然ガス)やアンモニアを燃料とする船舶の導入、事業拡大のためのM&A、洋上風力発電といった新規事業などで計1.2兆円を投じる方針を表明した。

脱炭素のニーズを確実に捉えると同時に、市況の変動が激しいコンテナ船への依存度を低減し、事業の多角化を図る方針を示している。


(日本郵船公表資料より引用)

新中計は、他の邦船大手2社と共同で設立したコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」の成長支援継続、自動車やドライバルクの不定期専用船事業で脱炭素需要の獲得のための船隊の低・脱炭素化促進、LNG燃料に対応した客船の投入などを列挙している。

自社運航の船舶などScope1の領域の温室効果ガスは21年度に比べ、30年度に排出量を27%減らすため、バイオ燃料の活用、運航最適化、省エネ技術実装などを進める方針を明記している。

併せて、郵船ロジスティクスを中心とする物流事業でM&Aなどの成長施策を積極的に図る意向を明示。洋上風力発電や水素・アンモニア輸送、宇宙関連事業といった新領域の拡大にも注力する方向性を盛り込んでいる。

30年に向けた船舶脱炭素化の投資はLNGやアンモニアを燃料とする船舶の導入などに4300億円、運航最適化技術に100億円、省エネ技術に100億円の計4500億円を設定している。

最終の26年度の業績目標は連結経常利益が2700億円(うちONE以外が1500億円)、当期純利益が2400億円などを掲げている。22年度見通しの経常利益1兆800億円、当期純利益1兆円などに比べると、新型コロナウイルス感染拡大後の混乱で高騰した市況が沈静化するとみている。

(藤原秀行)

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